入退室管理とは?メリット、導入事例、比較ポイントを解説!

2022年12月23日

はじめに

この記事で分かること
  • 入退室管理の必要性がわかる
  • 自社に合った入退室管理システムの活用法がわかる
  • 入退室管理システムを導入する際に注意すべきポイントがわかる

入退室管理とは

入退室管理とは、特定の建物や部屋などに、「誰が」「いつ」「どこに」「出入りしたか」を記録して管理することです。

特に企業では、従業員の人事情報や、顧客情報、自社製品の情報など、外部に漏れてはならないさまざまな情報を取り扱っています。そのため、情報の漏えいを防ぐとともに、正当な権限のある人が特定の情報を取り扱える環境づくりが大切です。

入退室管理は、その具体的な対策の一つとも言えるでしょう。従来の入退室管理の方法としては、物理的な鍵とノートなどの台帳を用いて記録し、管理する方法が多くありました。

そのような運用方法の場合、担当者がキーボックスなどで鍵をまとめて管理し、利用する度に台帳へ利用開始日時や氏名などを記入し、終了時には再び終了時間を記入し管理するというアナログな方法がとられていました。

しかしこの方法では、記入の誤りや記帳することそのものを忘れてしまうなどの人的ミスが生じてしまい、徹底した入退室管理ができないことから、情報漏えいや防犯面でさまざまなリスクが生じやすい状況です。入退室管理を厳密に行うには、「誰が」「いつ」「どの場所に」「出入りしたか」ということを、正確に記録する必要があります。

そのため近年では、管理が煩雑で人的ミスも起こりやすい物理的な鍵を使わずに、従業員の使いやすさや管理者の管理性を向上できる専用のICカードなどを使う入退室管理システムを導入する企業が増えてきています。

入退室管理システムは、ICカードなどを鍵として利用することで、使いやすさや管理性の向上だけでなく、入退室の記録もクラウドなどのシステム上で一括で管理できます。

特定の場所への出入りを正確に記録できるため、物理的な鍵を担当者が管理する必要がありません。加えて台帳管理への記入ミスもなくなるため、より正確に入退室の状況を把握することができます。

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入退室管理システムで使用する鍵の種類

入退室管理システムで鍵として使用できるものには、さまざまなタイプがあります。物理鍵のように1つのドアに1つの鍵という従来のタイプではなく、従業員が普段利用しているものを鍵として利用するタイプが多いことが特徴です。ここでは、主に「テンキー」「ICカード」「生体認証」の3種類について説明していきます。

テンキー

あらかじめ指定の暗証番号を設定・登録し、入退室時にその番号を入力することで解錠を行います。テンキーは、スムーズな入退室や導入・運用コストを低く抑えられることがメリットです。

しかし、入退室の履歴/ログを残すことができないことから、セキュリティレベルのあまり高くない場所では有効といえるでしょう。また、暗証番号を盗み見られて外部の人が侵入するリスクもあるため、より安全性を高めるには定期的に暗証番号を変更する必要もあります。

ICカード

ICチップ搭載の社員証や、交通系ICカードをかざすことで鍵として施解錠する方法です。個人とICカードを紐づけることで自動で入退室の履歴/ログが記録されるため、なりすましや偽造を防止できる点がメリットです。

一方で、ICカードそのものの紛失や盗難などで入退室できなくなるデメリットや悪意ある部外者による不正利用のリスクがあるので、その対策も必要になります。

生体認証

指紋や顔、声紋など人体に固有の特徴を利用した認証方法です。ICカードとは異なり、紛失や盗難のリスクがない点や、なりすましなどの不正が起こりにくいため、高いセキュリティレベルが求められる場合に有効な認証方法です。

デメリットとしては、導入・運用コストが高額になることや生体的特徴によっては誤差が生じ、認証精度に個人差があることです。


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入退室管理システムのメリットとデメリット

入退室管理システムの導入は、企業にとってどのようなメリット/デメリットをもたらすのでしょうか。それぞれについて、いくつか代表的なものをご紹介します。

入退室管理システムのメリット

内部からの不正・情報漏えいの防止

従業員や顧客に関する機密情報は、さまざまな手口により情報が漏えいする可能性があります。それは、コンピュータウイルスによるサイバー攻撃などの外部攻撃がある一方、内部の人が不正に入手して流出させる場合もあります。

内部や外部を問わず、情報漏えいが発生すると自社のブランドの毀損や顧客や取引先からの信頼の喪失、さらには保証や賠償金の請求など、企業にとっては大きな損害となるでしょう。

そういった損害が発生しないようにするためには、セキュアな環境づくりが重要になります。入退室管理システムを導入し、「誰が」「いつ」「どこに」入退室したのかを記録し、把握することで、情報漏えいや内部不正といったリスクを低減することにつながります。

セキュリティコストの削減

セキュリティ強化を目的に人の出入りする場所に警備員を配置するという企業もありますが、専任の警備員を雇うための人件費は高く、また見落としなどの人為的ミスが生じるリスクもあります。

入退室管理システムを活用することで、人が出入りするドアなどの常時施錠、ICカードや生体認証などを使った解錠、施解錠の履歴や入退室権限などの管理システムでの管理が可能になるため、警備員など人的リソースに頼ることなく、精度の高いセキュリティ対策を行うことが可能です。

このように、入退室管理システムを活用することで、セキュリティに関するコストを削減することができるメリットがあります。

勤怠管理システムとの連携による業務の効率化

入退室管理システムと勤怠管理システムを連携させて、入退室に使用するICカードなどをタイムカードとしても活用することで労務管理業務の作業工数を削減できます

具体的には、入退室管理システムを執務エリアの出入口などに導入し、「誰が」「いつ」入退室したのかという履歴を取得し、その履歴を自動で勤怠管理システムに連携させることで、従業員ごとの勤怠打刻として記録することができます。

これにより、従業員の労働時間の正確な把握に加え、その記録を基にした給与計算などの業務の効率化が可能になります。

入退室管理システムのデメリット

入退室管理システムを導入することで業務の効率化やコスト削減が期待できる一方、運用の方法によってはうまく活用できず導入に失敗する可能性もあります。

利用者数が多い場合などは逆に管理や運用が煩雑になる

ICカードを使用した入退室方法を採用した場合、事前に全社員のデータやカードの登録が必要になり、また運用開始後は従業員の入社や退社を含めそれらを適切に管理する必要があります。

加えて、来客や会社に出入りする業者やカードの紛失・盗難への対策も必要になります。従業員数などの利用者の規模などを考慮せずに導入すると、逆に管理コストが膨らむ可能性があるので事前に自社に適したシステムや運用方法を検討をしておきましょう。

情報漏えいのリスク

テンキーによる入退室は、パスワードを教えたり、盗み見られたりするリスクがあり、従業員への適切な利用方法の周知やリスク管理への対策も必要になります。

導入コストが想定よりもかかる場合がある

静脈や指紋などの生体認証による入退室管理システムは、導入コストが高いというデメリットがあります。また、身体の一部であることから、ケガによる傷や汗、外気温などによって認証しにくいケースもあります。

導入後のランニングコストも視野にいれながら、自社にはどのようなシステムが適しているのかを検討する必要があります。

インターネット環境の整備

入退室管理システムを導入するには、インターネット環境が必要な場合が多いため、まだそのような環境が整っていない場合はインターネット環境を整えることから始めましょう。

また、機器によっては無線/有線などの条件や、インターネットを使わずに利用できる場合もありますので、導入したい目的や自社環境に合ったシステムを検討してみるとよいでしょう。

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入退室管理システムの活用例

入退室管理システムは、ビジネスシーンにおいてさまざまな場所で導入するメリットがあります。どのような活用方法があるのかご紹介します。

オフィス

社外秘情報や取引先・従業員の個人情報などを取り扱うオフィス内では、入退室管理システムを導入することでセキュリティの強化につながります。

特に、資料室や執務スペースなど、そのような情報を取り扱うエリアや、特定の従業員しか入室できないエリアに導入することで、それら情報を取扱える権限を持った人以外の不正な侵入を防ぐことができます。

他にも、会議室に導入することで、利用履歴を確認することができるので会議室の利用効率の向上や従業員の働き方の把握にも活用できます。

導入事例 導入頂いた企業様の嬉しい声

オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント

工場・倉庫

製造現場である工場や製品在庫を管理する倉庫では、さまざまな機密情報を取り扱っているほか会社としての資産を保管しているため、特定の従業員しか入れないエリアなどが多くあります。防犯強化という面に加えて、特に食品や医薬品などの工場や倉庫では衛生管理という観点からも厳重なセキュリティ対策が求められます。

また、短期アルバイトや契約社員など人の入れ替わりが多くあることも想定されるため、ロッカーや更衣室などは使用する期間のみ入室権限を付与しセキュリティを強化する必要があります。入退室管理システムを導入することで工場や倉庫のセキュリティ管理しやすくなるのではないでしょうか。

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オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント

レンタルスペース

不特定多数の人が利用するシェアオフィスやレンタルスペースを運営する場合も、入退室管理システムは大いに活用できます。暗証番号による解錠の場合、一度だけ有効な番号を発行して出入りしてもらうことで、セキュリティの強化につながります。

また、インターネットを通じて遠隔操作できるタイプの入退室管理システムなら、物理的な鍵を渡さずにPCの管理画面上などから遠隔で施解錠を実施できるため、無人でのスペース運営が可能になり、人件費を抑えることにもつながります。

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オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント

スポーツジム

スタッフルームや更衣室など、入退室の制限が必要なエリアに利用することで、会員種別や性別などに応じて効率的に管理することができます。

また入退室の履歴は会員の利用実績としても活用できるので、時間帯ごとに多い利用者層などを把握することで、特定の会員向けの新たなサービスを開発したり、利用回数の多い会員向けのロイヤリティを高める施策を実施するなど、マーケティングにも活用できるメリットもあります。

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オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント

教育機関

学習塾や学校などの教育機関では、生徒の名簿や成績などの機密情報や個人情報を取り扱います。データを管理する資料室や倉庫、職員室などに入室管理システムを導入することで、部外者の侵入を防止できるなどセキュリティの強化につながります。

また、システムを導入することで、入ることができる部屋の鍵権限をシステム上で一括管理できるため、複数の部屋の鍵を物理的に管理する必要がなくなります。

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オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント

入退室管理システムの特徴

オンプレミス型とクラウド型とは?

ひとくちに入退室管理システムといっても、製品によって特徴が異なります。特に導入にあたっては、「オンプレミス型」と「クラウド型」のどちらを選ぶかによって、運用・管理の方法が異なるのでしっかり理解して自社に合ったシステムを検討しましょう。

オンプレミス型


オンプレミス型とは、自社で専用のサーバーやソフトウェアを購入したり、自社環境に合わせた専用システムを開発するなどして、構築・運用するものです。

自社のサーバーに入退室管理システムのためのアプリケーションやソフトウェアをインストールして利用します。自社のサーバーなどの初期費用が必要になりますが、自社の環境や条件に合わせてカスタマイズしやすいため、自社流に使いやすくアレンジできます。

自社でカスタマイズしたり、そのための技術者などがいる企業などは、オンプレミス型が向いていると言えますが、それを構築・運用できる人員のための人件費やサーバー、ソフトウェアなどの購入コストがかかってきます。

クラウド型


クラウド型とは、インターネットを通じてクラウド上にある入退室管理システムをWebブラウザやアプリなどから利用する方法です。

オンプレミス型のように自社でサーバーを購入する必要がなく、インターネットがあればWebブラウザやスマートフォンのアプリなどからどこからでも利用できるのが特徴です。

加えて、クラウド上にデータがあるため、災害や故障などの影響を受けにくくデータの利活用もしやすいというメリットもあります。

また、オンプレミス型と比べて専用のハードウェアやソフトウェアを購入しなくても利用できるため導入コストを低くおさえることができます。

設置方法

入退室管理システムを導入する場合、入退室管理を行う部屋の出入口に、カードリーダーなどの専用の機器を設置する必要があります。

工事不要で後付けできるものや工事が必要となるものなど、入退室管理システムの機器や扉の種類によって異なるため自社環境にあった設置方法を把握しておきましょう。

後付け型

既存のドアに取り付けるだけで設置できるタイプのものです。ドアのつまみなどに被せることで設置できるため、工事不要で原状回復が不要になるなど賃貸のオフィスなどにも利用しやすいタイプの鍵です。

また、オフィスの移転などの際も、取り外しし移転先のオフィスにそのまま取り付けることもできるので、移転したその日から移転前と同じようにすぐに利用できます。

交換型

鍵のシリンダー部分を交換して取り付けるタイプのものです。取付工事が必要となるため工事費がかかる点や、賃貸の場合は物件のオーナーや管理会社に許可が必要な場合もあります。

一方、自分で設置できる後付け型よりも設置の難易度が上がるため、設置の間違いで機器が正常に動作しないといったケースもあるので設置の際は十分に注意が必要です。

入退室管理システムの導入時に気を付けるポイント

自社で入退室管理システムを導入する場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。入退室管理システムは、製品ごとに特徴や機能、設置のための条件などが異なります。

高性能/高機能なシステムを導入しても、自社のニーズに合わなかったり想定していたような効果がでなかったりなど、十分に活用できない可能性もあります。

そもそも「なぜ入退室管理システムを導入するのか」という目的と導入により期待する効果などを明確にして、製品を選んでいきましょう。

自社の求めるセキュリティレベルに合ったものを選択する

セキュリティレベルは、企業ごとに従業員数や保護しなければならない資産の種類や価値なども踏まえて設定するとよいでしょう。

従業員数が多い場合、本来であれば低いセキュリティレベルの入退室管理で間に合うエリアに生体認証などの費用が高いシステムを導入すると、効果に対して費用が高すぎるといったミスマッチが生まれる可能性があります。

出入りする人物や場所、保護しなければならない資産の種類や価値などを考慮し、自社に必要なセキュリティレベルを適切に見極めることが大切です。

オンプレミス型かクラウド型かを選択する

入退室管理システムは、オンプレミス型とクラウド型で特徴が異なります。 自社でサーバーやソフトウェアなどを管理するので、システムを適切に管理できる従業員がいる企業では、オンプレミス型の導入による効果を期待できます。

一方、システムに技術的に詳しい従業員がいない場合や、管理者がリモートワークなどオフィス以外の場所で業務を行うことが多いような場合は、クラウド型のシステムの方がメリットを享受しやすいといえます。

オンプレミス型もクラウド型も双方にメリットとデメリットがあるので、導入のための予算や導入後の運用方法なども考慮し、自社での運用体制などに合った製品を検討しましょう。

勤怠管理や予約管理などの他システムとの連携によるさらなるメリットを検討する

入退室管理システムのデータを、他のシステムに連携させてさらなるメリットを実現できる製品もあります。

例えば、監視カメラと連携してセキュリティ強度を高めたり、勤怠管理システムと連携して労務管理の工数を減らすなど、他のシステムとの連携により、入退室管理以外の業務の効率化が期待できます。

このような連携により、入退室管理に加えてその他の業務領域でのメリットを付加していくことで、企業全体での人件費や管理費といったコストの削減も見込めるでしょう。

ランニングコストや費用対効果を考える

システムの導入には、さまざまなコストが発生します。導入時のコストや、運用までにかかるコスト、そして運用時のコストと、それぞれのフェーズでかかる費用も異なります。

例えば、オンプレミス型の場合、自由にカスタマイズして、機能を拡張できるメリットがありますが、専用のサーバーやソフトウェアの購入など初期コストが大きく膨らむことがあり、また運用開始後も一定程度のスキルを持った技術者が社内いないと十分に活用できないことがあります。

一方で、クラウド型の場合は、月額や年額で継続的に費用が発生するものの、専用のサーバーやソフトウェアの購入や構築が不要のため、導入のコストを大幅に抑えられたり、専門的なスキルを持っていなくてもわかりやすい管理画面などが提供されるので誰でも管理・運用できると言ったメリットがあります。

自社の導入時の予算やリソース、さらに運用開始後のランニングコストや技術者の有無などを確認して、自社に合ったシステムを選びましょう。

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まとめ

入退室管理システムは、入退室管理を行うエリアや、保護する資産の種類と求められるセキュリティレベル、そして導入時・運用時の条件などによって導入する製品が異なります。

そのため、自社の目的に応じたセキュリティレベルを設定し、コストと期待する効果を比較しながら導入を検討することが大切です。自社のニーズを満たすことができる製品を選び、効率的かつ効果的な運用を目指しましょう。


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