労働基準監督署の4つの調査種別と6つのよくある監督内容を解説

2019年09月25日
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働き方改革と切っても切り離せない機関が「労働基準監督署」。いわゆる労基と呼ばれている機関です。
予告なしに突然やってきて調査が始まり、罰則が科されるという話も聞きます。もちろん法令を守らない会社は摘発されるべきですが、知らずに規則を破っていて、是正勧告や罰則が科されるということは避けたいですよね。

今回は、労働基準監督署の調査の種類や監督内容について触れていきます。

調査は「定期監督」「申告監督」「災害時監督」「再監督」の4種類

ひとえに労働基準監督署の調査と言っても、4つの種類があります。それぞれの特徴について解説します。

①最も一般的な調査は「定期監督」

最もイメージされやすい労働基準監督署の調査と言えば、この定期監督となります。
原則予告することなく行うとされていますが、予告なしの訪問では空振りに終わることもあるからか、書面や電話による予告があり、日程調整が行われるケースが一般的となっているようです。

また、書面による通知があり、必要書類を持参の上、労働基準監督署に出頭するよう指示される場合もあります。
毎年、地方労働局が重点業種や重点施策を決めるため、年ごとに調査されやすい業種が変わります。

②従業員からの申告によって発生する「申告監督」

いわゆる「内部からのタレコミ」が申告監督に当たります。

残業代の未払いや不当解雇など、労働基準法違反を従業員から摘発された場合に調査が入ります。 申告者名に関しては申告者本人の了承がない限り、企業に伝わることはありません。

③一定規模の労災発生時に行う「災害時監督」

労働中に怪我をしてしまったなどの労働災害が一定規模以上だった場合の、労働災害の原因究明や再発防止の施策を行うための調査が災害時監督です。

④違反企業の是正状況の確認を行う「再監督」

①~③において指導を受けた場合、指定期日までの「是正報告書」提出を課されます。この提出が行われなかった場合や、事業所が悪意ある対応を行っていた際などに、再監督が行われます。

労働基準監督署のよくある指摘は「労働時間」「賃金」「労働条件」「有給休暇」「安全基準管理」「健康管理」の6つ

では、調査が入った際に指摘事項としてよく挙がる内容にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは6つのポイントについて解説します。

①労働時間

労働時間が時間外・休日労働協定(36協定)で定めた上限を超えていないかどうかが監督されるポイントの1つです。

労働安全衛生法の改正により、「客観的方法による労働時間の状況の把握」が企業に求められているため、入退室管理システムや勤怠管理システムの導入などによって全従業員の正確な労働時間を算出することがこれから大切になりそうです。

②賃金

賃金が不当に低くないか、特に残業代の未払いがないかが監督されるポイントの1つです。
前述した労働時間の把握がなされていないと残業代の計算もできないため、労働時間とセットで考える必要がありますね。

③労働条件

従業員を雇用する際に発行される雇用契約書や労働条件通知書、また、就業規則が正しく作成され、運用されているかも監督されるポイントの1つです。

特に就業規則は届出がされていないケース、周知がされていないケース、周知はされているが内容と実態がかけ離れているケースの3つがあります。社労士などに確認の上、不備がないように運用したいですね。

④有給休暇

年次有給休暇の取得状況と取得記録を押さえているかどうかも監督されるポイントの1つです。

特に、働き方改革によって年5日の有給休暇の確実な取得が義務付けられるため、いつ有給休暇を取得したかを把握するためのツール活用も検討したいところです。

⑤安全基準管理

従業員が50名以上の会社において、衛生管理者、安全管理者、産業医が選任されているかも監督されるポイントの1つです。
特に急激に人員拡大が起こるベンチャー企業においては、注意が必要でしょう。

⑥健康管理

企業における健康診断は法律で義務付けられています。この実施記録と結果報告があるかどうかが監督されるポイントの1つです。

健康診断以外にも、過重労働により健康が著しく損なわれていないかも調査対象となります。労働時間の把握ともつながりますが、今後は労働時間が長い社員の負荷を減らす取り組みも必要になるかもしれませんね。

労働基準監督署の調査内容をもとに、自社の働き方を見直そう

労働基準監督署の4つの調査の種類と6つのよくある調査内容について解説してきました。
働き方改革によって従業員の負荷を減らす取り組みが多く求められており、その分労働基準監督署の調査も厳しくなります。

「知らなかった」で是正勧告や罰則を受けてしまわないよう、今のうちに調査内容を把握し、ツールの導入や社内の規則整備を行うことでより従業員にとって働きやすい職場となるよう改善していきましょう。



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