中小企業が“いま”取り組むべき経費削減や業務効率化の方法とは

2020年11月06日
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コロナ禍の厳しい経済情勢のなか、多くの企業がこの困難を乗り切るために、経費削減と同時に、新規事業の立ち上げや既存事業の立て直しなど様々な取り組みを行っています。
こんな時期だからこそ、改めてデジタル化やDXを推進することで、さらなる競争力や製品力、サービスの強化を図り、将来的な事業成長を図る取り組みが必要とされているのではないでしょうか。

今回は、企業が経営基盤を強化し、将来にわたって戦略的な業務や事業活動に注力できる環境をつくるための一環として、経費削減や業務効率化に向けた取り組みを紹介していきます。

経費削減や業務効率化を成功させるポイント

まず、経費削減や業務効率化を確実に達成するためのポイントを解説します。

取り組みやすい部分から始める

大幅な経費削減や業務効率化は、中長期的視野を持って取り組む

大幅な経費削減や業務効率化は年単位の期間を必要とし、施策によってはプロジェクトチームを立ち上げる必要があります。
経費削減や業務効率化のために中長期的に大掛かりなシステム導入や人事制度の改定などを行っていく場合は、まず目標(金額や最終的な姿)を設定し、それを実現するための具体的な施策とプロジェクトチームを決めた上で、計画的に取り組んでいきましょう。

【中小企業向けの施策:難易度1〜3】事務関連費用、通信費、通勤費の見直し

まず、すぐに取り組める経費削減や業務効率化のための方策をまとめて紹介します。

文書は可能な限り電子データで保存にする

資料を印刷して文書保存しなくても済む場合は、PDFなどの電子データで資料を保存します。紙文書を減らすことで、保管用のキャビネットのスペースを節約することも可能です。

会議では電子ファイルを活用する

社内会議では各自がノートPCを持参して電子ファイルを確認する、あるいは電子ファイルを会議室のディスプレイに表示するなどをして、不要な印刷を控えるようにします。

「クラウドPBX」を導入する

クラウドPBXとは、代表番号への電話を複数の従業員の電話機で受けられたり、従業員同士が内線で通話することを可能とするPBXのクラウド版です。
クラウド版では、交換機の設置や配線工事などの費用を掛けずに、代表番号に入った電話を複数の従業員のスマートフォンで受けたり、通話中の電話を保留して他の従業員に転送することなどが可能となります。
コロナ禍で増えている在宅やサテライトオフィスでのテレワーク時も、代表番号への電話対応が可能です。

通勤手当を見直す

新型コロナウイルスの感染拡大後は、テレワークを実施する企業が増えて、出社率や出社回数が減少傾向にあります。
その場合、通勤定期券代の支給をやめ、実費精算に切り替えることが経費削減に有効です。なお、通勤手当の見直しには就業規則の変更が必要となります。

一部の企業では通勤定期代をそのまま、在宅業務に必要な様々なツールの購入費として従来通り支給している例もありますので、そういった例も参考にしましょう。
また出社人数の減少により、社食やドリンク割引などオフィスで利用できる福利厚生サービスの利用も減っている場合は、福利厚生サービスの見直しも検討しましょう。

【中小企業向けの施策:難易度4】システム導入の検討

人手で行っていた業務をシステム化することで、人件費の削減や業務効率化が期待できます。ここでは、経費削減につながるシステムを紹介します。

勤怠管理システム

インターネット上で従業員の勤怠状況を管理するクラウド勤怠管理システムを導入することで、タイムカード保管の手間や労働時間の計算にかかる時間を減らせ、人件費の削減や給与計算業務などの労務関連業務の効率化につなげることも可能です。

クラウド給与計算ソフト

従業員情報を登録しておけば、月々の給与や各種保険料などが自動で計算されるため、経理業務が効率化され、人件費の削減や大幅な業務効率化につなげることも可能です。

出張管理システム

ビジネストラベルマネジメント(BTM)が可能なクラウド型の出張管理システムを導入することで、出張費の申請から航空券の手配までを一元管理でき、出張費用の見える化や全社的な経費削減が可能になります。また、旅程の一覧が明確になるため、海外への出張が多い企業は、経費削減と同時に有事の際の危機管理にも役立ちます。

こういったシステムの導入により、出張手配のミスによる手戻り作業の発生や本来の業務外の作業を減らすことができるため、より戦略的な業務に集中するための一助ともなるでしょう。

採用管理システム

採用管理システムを導入することで、応募者への連絡や選考フローを一元管理できます。面接が集中する時期に採用担当者の業務負担を削減でき、残業代や休日出勤にかかる人件費の抑制が見込めます。

電子契約システム

電子契約システムを導入することで、インターネット上でPDFなどの電子ファイルに押印・署名して契約を締結できるようになります。システム上で契約を完結させることができるため、製本→押印→契約相手に郵送→返送の手間を減らせ、契約完了までのスピードも早まります。

製本代や送料が不要になるほか、電子契約では収入印紙が不要となるため、印紙税がなくなります。

無料版への切り替えの検討

「すでに有料の勤怠管理システムやWeb会議システムを導入しているけど、機能を持て余している」という場合は、無料版への乗り換えも検討してみましょう。勤怠管理システムや、Web会議システムには無料で利用できるタイプも存在します。

反対に、既存のシステムをこれまで以上に活用することで、普段の業務を大幅に効率化することも期待できます。まずは既存のシステムでできることや自社にとって必須となっている機能は何なのかなど、自社のニーズと既存システムの仕様を比較し、自社にとって最適な形での活用方法を検討しましょう。

助成金の活用

中小企業で新たにIT関連のシステムやツールを導入する際、「IT導入補助金」を利用できる可能性があります。
登録・申請時期はあらかじめ決まっていますので、Webサイトで期間や条件を確認し、申請を検討しましょう。

(参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会| IT導入補助金

【中小企業向けの施策:難易度5】オフィス利用の見直し

ここでは時間と手間を要し、経営層の意思決定も必要となるオフィス利用の見直しに関わる経費削減や業務効率化に向けたアイデアを紹介します。

オフィスの縮小・移転

新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークの導入が進んだ結果、オフィスの縮小や移転を選択する企業が増えています。
従業員がテレワークで業務を行えることが前提となりますが、移転や縮小による賃料の削減は都市部にある企業ほど大きなコストカットとなるでしょう。

さらに、オフィスの移転や縮小を機に、従業員にとって働きやすい環境を改めて整備することで、将来的な事業成長に向けた基盤として活用していくことも期待できます。

サテライトオフィスの利用

テレワークの普及に伴い、サテライトオフィスを利用する企業が増えています。オフィスを縮小してサテライトオフィスを開設すれば賃料を縮小できるほか、従業員の居住が多いエリアのサテライトオフィスを利用すれば、通勤費の削減も可能となります。

また、従業員が自分に合った環境で業務を実施できることで、業務の効率化も見込めます。

【中小企業向けの施策:難易度6】DXの推進

最後に、まとまった導入費用を要するものの、大幅なコスト削減や企業に新たな価値をもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)について紹介します。

RPAを導入する

業務効率化による人件費抑制のためには、定型業務を自動化・代行できるRPA(Robotics Process Automation)のためのツールの導入を検討しましょう。 RPAの活用によって、人の手で行っていた入力作業や確認作業だけでなく、データ解析やディープラーニングの領域までも自動化が可能になります。

RPAには導入コストや運営コストが発生しますが、業務の自動化によって人件費の削減、そして新たな事業への人的リソースの確保にもつながります。

DXの推進

自社の課題解決につながるIoTやシステムを開発してクラウド管理するなど、企業活動に大きな変革をもたらすDXは、企業規模を問わず、推進が急務となっています。
RPA同様に導入コストは発生しますが、IT人材が不足する中小企業であっても、DXを推進することで無駄の削減や新たな企業価値の創出が可能となります。

全社一丸となって取り組める経費削減や業務効率化の計画を立てる

プライバシーマークの新規取得時、更新時にはそれぞれ、申請料、審査料、付与登録料が発生します。具体的な費用については以下の新規の場合、更新の場合にそれぞれまとめました。

新規取得の場合

経費削減や業務効率化を成功させるには、そのための“意識”を経営層と管理部門だけでなく、従業員も含めた全社に根付かせることが大切です。
同時に、DX推進のように、経営層が初期コストをかけてでも業務の効率化や新たな企業価値を創りに行くという意識と姿勢を持つことも重要です。

経営層・管理部門・従業員が目線を合わせて取り組めるよう、半年、1年後の経費削減や業務効率化の目標(金額や最終的な姿)を記した計画を作り、達成率を可視化しながら計画を進めていきましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響など、変化の激しい時代に企業価値を高め、さらなる成長を実現していくために、デジタル化やDX、事業基盤のさらなる強化など、これまで以上に戦略的な取り組みが求められています。
是非この機会にあらゆる変化に対応できる強固な経営基盤の確立に取り組んでみてはいかがでしょうか。


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