オフィス(事務所)セキュリティとは?重要性やゾーニング、セキュリティ対策を解説

2023年05月24日
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はじめに

企業活動の中心であるオフィスには、現金や小切手などの金銭、パソコンやOA機器などのオフィス家具など金銭的価値の高いもののほか、個人情報や開発中の製品情報などの機密情報まで、さまざまな資産が保管されています。

そのため、オフィスセキュリティの対策を講じることは、企業の金銭的・人的・情報的な資産を守るために重要です。本記事では、オフィスセキュリティの基本的な考え方やオフィスセキュリティ対策が重要な理由、そして具体的な対策方法などをご紹介します。

オフィスセキュリティとは?

オフィスセキュリティとは、オフィス内に存在するさまざまな企業の資産を守るための対策です。オフィスには現金や小切手などの金銭的資産をはじめ、サーバーや紙に記録された情報的資産、働く従業員などの人的資産があり、これらを守るための対策が欠かせません。

また、オフィスセキュリティは、「外部からの不正侵入を防ぐもの」と「内部からの不正な情報資産の持ち出しを防ぐもの」という2つの側面があります。

  • 外部からの不正侵入を防ぐ
  • 外部の人がオフィスに出入りして現金や小切手、パソコンなど物理的な資産を盗んだり、社内ネットワークに不正アクセスして顧客情報や機密情報などを窃取することを防ぐという考え方です。そのために、来訪者の入退室管理を厳格に行なったり、外部からの社内ネットワークなどへの不正アクセスを防止するためのセキュリティ対策を講じる必要があります。

  • 内部からの不正な情報資産の持ち出しを防ぐ
  • 従業員が社内の機密情報を故意に、または過失で持ち出してしまい、情報漏えいや紛失するリスクを防ぐという考え方です。重要書類や機密情報の保管場所と管理方法を見直したり、より厳しい対策としては、会社の管理下にないスマートフォンなど私用端末の利用を制限するなどの方法があります。


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オフィスセキュリティ対策について

では、実際にオフィスで行うべきセキュリティ対策について考えてみましょう。ここでは、オフィスセキュリティ対策の重要性、対策のポイント、オフィスセキュリティ対策に有効なゾーニングの3つについて説明します。

オフィスセキュリティ対策の重要性

情報の漏えいや窃取などが起こらないように対策することは、自社の大切な資産を守るだけでなく、取引先や顧客と信頼関係を維持するためにも重要です。そこで、オフィスセキュリティが重要とされる背景として、「個人情報保護法」と「サイバー犯罪の増加」の2つの側面から見ていきます。

個人情報保護法

企業には、従業員の履歴書や給与情報などの個人情報はもちろん、顧客や取引先などの個人情報が多く存在します。氏名や性別、生年月日、住所、マイナンバーなどの情報は、顧客や取引先へのサービス向上や業務効率化、そして従業員の適切な管理などを推進する上で重要な情報ですが、一方で個人を特定できてしまうプライバシーに関わる機密性の高い情報でもあります。

そこで、こうした情報の有用性に配慮しながら、個人のプライバシーを守るために、2003年(平成15年)5月に個人情報保護法が制定され、2005年(平成17年)4月から全面施行されました。その後も何度か改正が行われ、最も新しいものでは令和2年に改正され、令和4年から施行されているものがあります。

万が一企業が従業員や顧客、取引先に関係する個人情報を流出させてしまうと、社会的な信用を失うだけでなく、損害賠償に加えて顧客や取引先からの契約解除など経営的にも大きな損失をもたらすことになります。

さらに、令和4年から施行されている改正個人情報保護法では、個人情報を扱う企業が守るべき責務や罰則も追加されました。このため、企業は個人情報の流出や漏えいのリスクを軽減させるために、さらなるセキュリティ対策の強化が求められています。

サイバー犯罪の増加

前述の個人情報保護法によって企業が取るべきセキュリティ対策が強化された一方で、近年、日本では社内ネットワークなどに外部から不正にアクセスして従業員や顧客の個人情報や未発表の製品情報などの機密情報を窃取するサイバー犯罪が増加※しています。こういった犯罪は、企業にとって大きな損失になりえるため、十分な対策が必要です。
※出典:令和4年版 犯罪白書

グローバルなコンサルティング企業であるPwC社が発表した「グローバル経済犯罪実態調査2022」によれば、日本国内の企業が過去2年間に遭遇した経済犯罪・不正の内容の第1位が「サイバー犯罪」となっています。

これは、2018年の調査で1位だった「(内部犯行による)資産の横領」を抜いて2022年から1位になったものであり、日本でサイバー犯罪が増加傾向にあることがわかります。こうした傾向を見ても、オフィスセキュリティ対策の強化は多くの企業にとって必要不可欠と言えるでしょう。

オフィスセキュリティ対策のポイント

オフィスセキュリティでは、以下の3つのポイントをおさえることが重要です。

  • 資産を可視化し、課題と対策を把握する
  • 従業員に対するセキュリティ教育を行い、意識向上を図る
  • 適切なゾーニングを実施する

それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。

資産の可視化をして、課題と対策を把握する

はじめに、セキュリティ対策の対象となるオフィスの資産を「物理的な対策が必要な資産」と「ITなどの技術的な対策が必要な資産」の2つに分けて洗い出し、見える化することが重要です。 自社に適したオフィスセキュリティ対策を実施するためには、有形無形を問わず自社の資産がどこに保管されていて、だれが管理責任者なのか、などといった資産の状態を把握し、どのような課題があるか把握する必要があるためです。例えば、以下のような資産が考えられます。

<物理的な対策が必要な資産>
  • 現金、小切手類
  • パソコンやOA機器
  • オフィス家具
  • 紙媒体で保管されている各種情報

<ITなどの技術的な対策が必要な資産>
  • デジタルデータで保管されている従業員や顧客、取引先の個人情報
  • デジタルデータで保管されている製品開発情報
  • デジタルデータで保管されている財務情報
  • その他、サーバーやパソコンに保管されている各種データ

特に情報資産は物理的に把握しにくいため、管理責任者や管理方法をきちんと確認することが重要です。資産を洗い出したら、次に資産管理する上で見つかった課題について適切な対策を講じることができます。

例えば、「重要書類が保管されている部屋への入退室の記録がなく、何かあったときに確認ができない」というのであれば、「入退室管理システムを導入し、記録をとる」「防犯カメラを設置する」などの対策が考えられます。

従業員の情報セキュリティ教育

高度なセキュリティ対策を行っても、従業員のセキュリティに対しての意識が低いと正しく運用できないため、従業員への継続的な情報セキュリティ教育も重要になります。

例えば、情報漏えいや情報流出などの主な原因は、従業員のパソコンの紛失やデータの誤削除、メールなどの誤送信、大事な書類の置き忘れなどの管理不足によって発生します。

こうした人的ミスを防ぐには、従業員の情報セキュリティに対する基準を定めた情報の管理ルールや運用方法のマニュアルの策定に加え、社内でセミナー/研修などを行い従業員の意識を向上させることがセキュリティ対策の効果を高めることに繋がります。

適切なゾーニングの実施

ゾーニングとは、オフィスをゾーン(エリア)ごとに分けて、セキュリティ対策を行うことです。 オフィスには用途によってさまざまなゾーンが存在します。例えば、応接室や社外の人と打ち合わせをするための会議室、エントランスなど外部の人も入れるゾーン、従業員が働くワークスペースなどのゾーン、機密情報が多く保管されているサーバールームや書類の保管室などのゾーンです。

これらすべてに異なるセキュリティレベルが必要で、守るべき企業資産に合わせて、強固なセキュリティ対策を必要とするエリア、比較的緩やかなセキュリティ対策で十分なエリアをそれぞれ把握し、適切な対策を取ることで、不正な侵入などによる情報の漏えいや流出のリスクを低減することができます。

オフィスセキュリティ対策はゾーニングが重要

これまでにご紹介したオフィスセキュリティ対策の中でも、非常に重要なものは「ゾーニング」です。オフィスを必要とされるセキュリティレベルごとにエリアで分けると、セキュリティレベルの低い順におよそ以下の4つのゾーンに分けられます。

  • パブリックゾーン(セキュリティLv1):
    エレベーターホールやトイレといったビルの共用部などの誰でも出入りできるゾーン
  • 共有ゾーン(セキュリティLv2):
    オフィスの入口や受付、社外向けの打ち合わせスペースなど、入室の許可を得て来訪者が出入りできるゾーン
  • ワークゾーン(セキュリティLv3):
    社内用のワークスペースや会議室、休憩室など、従業員だけが出入りできるゾーン
  • 機密ゾーン(セキュリティLv4):
    倉庫やサーバールーム、役員室、個人情報管理室など、社内でも特定の人のみが出入りできる重要機密を取り扱うゾーン

企業の業種や従業員数、人の出入りの頻度などによっても講じるべき具体的なオフィスセキュリティ対策は異なりますが、概ね上記の4つのゾーン分けを行い、それぞれのゾーンに適したセキュリティ対策を講じることが重要です。

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オフィスセキュリティの具体的な対策方法

では、オフィスセキュリティにおける具体的な対策方法として、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、空間セキュリティと情報セキュリティに分けてご紹介します。

空間セキュリティを強化する対策

空間セキュリティは、エントランスや受付、会議室、ワークスペース、サーバールームなど、オフィス内の空間を守るためのセキュリティ対策です。例えば、以下のような対策が考えられます。

  • 入退室管理システムの導入
  • 防犯カメラの設置
  • 収納セキュリティの強化

それぞれの対策について、具体的に見ていきましょう。

入退室管理システムの導入

入退室管理システムは、「いつ」「誰が」「どこに」入室・退室したか、「誰に」「どの部屋の」入室を許可するかなどを管理・記録するシステムのことです。

各ゾーンごとに設置し、従業員や来客者への権限を設定することで、入退室権限を与えられた人しか入室できないため、空間セキュリティ対策として効果的です。また、入退室管理システムにはさまざまな認証方法がありますが、大きく分けて暗証番号、ICカード、スマホ、生体認証の4種類があります。

  • 暗証番号
  • テンキー式とも呼ばれ、設定された暗証番号を入力すると、ドアが解錠されて入室できる認証方法です。しかし、暗証番号を知っていれば誰でも入室ができるため、防犯カメラなども合わせて導入することでセキュリティレベルを強化できます。 なお、暗証番号の入力の際に個人を特定することはできないため、「誰が」入退室したかの記録が取れないことに注意が必要です。

  • ICカード
  • 交通系ICカードや社員証などにあらかじめ解錠権限を付与することにより、ドアを解錠できるようにする認証方法です。この認証方法だと、登録されたICカードが誰のものなのかシステム上で紐付けされているため、「誰が」「いつ」入退室したのかといた詳しい記録を取得できます。

  • アプリ
  • スマホに専用アプリをインストールしてドアを施錠・解錠できる認証方法です。 ICカード同様、一時的な解錠権限を付与できるとともに、カードを発行する手間がいりません。また、いつも持ち歩いているスマートフォンで認証できるので、紛失のリスクを軽減できます。この認証方法も、スマホの所有者を特定できるため「誰が」「いつ」入退室したのかといった詳しい記録を取得できます。

  • 生体認証
  • 指紋認証や静脈認証、顔認証などの認証で鍵を解除する方法です。事前に生体情報を登録しておく必要があるため、一時的な解錠権限を付与しにくいものの、個人特有の生体情報を利用することから偽造や暗証番号の盗み見などによる不正も行われにくく、セキュリティレベルとしては最も高いと言えます。


セキュリテイ対策をしたいゾーンに求められるセキュリティレベルに合わせた入退室管理システムや認証方法を選ぶと良いでしょう。

防犯カメラの設置

防犯カメラは幅広く導入されている空間セキュリティ対策であり、前述のように入退室管理システムと組み合わせて使うのもおすすめです。防犯カメラを設置しておけば、不審者の侵入や社員の不正行為などのトラブルが起こった際に経緯を把握しやすく、迅速な対処ができます。

また、防犯カメラを設置するだけで、外部から侵入しようとする不審者への抑止力にもなるでしょう。従業員の業務エリアに設置すれば、内部で起こる機密情報や社外秘情報の持ち出しなどの不正を把握したり、抑止力になったりします。何か問題があった場合も証拠としてデータが残るので安心です。

収納セキュリティの強化

金庫や鍵付きのキャビネットなど、収納自体のセキュリティを高めるのもセキュリティ強化につながります。特に紙媒体の重要な書類などを保管しておくためには、部屋の入口に入退室管理システムを導入した上で、さらに金庫や鍵付きキャビネットに保管しておくことで、二重の空間セキュリティ対策になるため安心です。

情報セキュリティを強化する対策

情報セキュリティとは、デジタルデータとして保管されている顧客情報や社員情報、機密情報などへの不正アクセスや私用端末の業務利用による情報の漏えいや流出を防ぐセキュリティ対策です。

サーバーや社内ネットワークへの不正アクセスを防ぐ

不正アクセスを防ぐためには、主に以下の3つの方法があります。

  • サーバー上のソフトウェアやパソコンのOS/アプリを最新バージョンにして不正アクセスの原因となる脆弱性などを解消する
  • 使用していないサービスを停止/削除して、最低限のソフトやアプリだけを利用する
  • ウイルス対策やファイアウォールなどのセキュリティ対策のためのシステムやサービスを導入する

ソフトウェアやOSでは、セキュリティの脆弱性などに対処するための定期的なアップデートが提供されます。そのため、最新のバージョンに更新するだけでもセキュリティ対策になりえます。

また、使用していないサービスは可能な限り停止/削除しておくことで、脆弱性を抱えるなどのリスクを低減できるため、第三者によるセキュリティホール(セキュリティ上の脆弱性)を狙った不正な攻撃を抑止できます。

近年では、リモートワークなどの普及によって社外に社用パソコンを持ち歩きオフィス以外の環境で業務することが増えています。

このような業務環境では、アプリやソフトウェアなどのIDやパスワード、社内データを盗み見られたり、不正な方法で窃取されて攻撃されることもあるため、IDやパスワードの管理には、覗き見防止フィルターをつけたり、セキュリティ対策が不十分なフリーWi-Fiに接続しないなど細心の注意を払うことが大切です。

私用端末の業務利用による情報の漏えいや流出を防ぐ

従業員が私用端末を業務利用する場合、プライベートでアクセスしていたWebサイトなどからウイルスに感染して業務上のデータが流出したり、アカウントを乗っ取られて機密情報が漏えいしてしまったりするリスクがあります。

こうした情報の流出や漏えいを防ぐためには、私用端末のセキュリティ設定や機能制限ができるデバイス管理サービスを導入したり、利用する際のマニュアルを作成・周知する、さらには必要に応じて私用端末の業務での利用を禁止するなどの対策を取ると良いでしょう。

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オフィスセキュリティ対策にはさまざまな方法がありますが、中でも空間セキュリティ対策における入退室管理システムは各ゾーンに設置して入室制御することで情報セキュリティ対策としても活用できます。

Akerun入退室管理システムは、事前に解除権限を付与されたICカードやスマホなどを使ってドアを解錠しオートロック機能で自動施錠できたり、取引先の担当者に事前にゲスト用のワンタイムキーを発行して一時的に鍵の権限を付与することもできます。

また、「誰が」「いつ」「どこに」出入りしたか、といった記録/ログをWeb管理ツールでいつでも確認・管理できます。そのため、ゾーニングが必要なオフィスセキュリティ対策として、オフィス内の複数のゾーンを一元管理することができるので有効です。

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まとめ

オフィスセキュリティには、大きく分けて「外部からの不正侵入を防ぐもの」と「内部からの不正な情報資産の持ち出しを防ぐもの」の2つの対策方法があります。これらへの対策として、特に空間セキュリティには入退室管理システムが有効です。

オフィスセキュリティで重要な考え方にゾーニングがありますが、入退室管理システムなら、ゾーンごとに保管されている情報の重要性や求められるセキュリティレベルに合わせた導入や権限設定が可能で、特定の人物のみ入室制限をかけられるのでゾーニングにも対応しやすいです。オフィスセキュリティ対策として、外部からの不正侵入や内部からの持ち出しにも対応しやすい入退室管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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