入退室管理システムとは?

2022年08月12日

入退室管理システムとは

入退室管理システムとは、「いつ」「どこで」「誰が」入室・退室したかを記録し、そのデータを管理するシステムや装置の総称です。
監視カメラやスマートロック、カードキーなどの入退室に関するデバイスと、それらを管理するソフトウェアシステム含めた全てを指します。

従来の入退室管理は、物理的な鍵とノートなどの台帳を使って行われているケースが多く、現在でもよく目にすることがあります。運用方法は知っての通り、鍵の利用開始時と終了時に台帳に氏名や時間を記録し、鍵を所定の場所で管理部門が保管するという極めてアナログなものです。

しかしこの運用方法では台帳の記入漏れ、記帳そのものを忘れてしまう、記入内容の誤りなどの人的ミスがあると、入退室管理として全く機能しません。
これに対して、入退室管理システムは、物理鍵に代わってICカードなどを鍵として利用し、登録情報と連動させることで、入室と退室のたびに「誰が」「いつ」などのデータが記録され、また登録情報のない鍵を利用すると、入退室ができないよう制限をかけることも可能です。

アナログによる管理から、テクノロジーを活用したシステムへと転換することで、入退室情報の管理をより正確かつ効率的にできるようになります。
入退室管理システムにおいて最も重要なのは、個人を識別する鍵ですが、鍵として利用されているものには、次のようなものが使われています。

ICカード

非接触型のICカードを専用のカード読み取りデバイス(カードリーダー)にかざすことで解錠します。
日常的に利用する交通系ICカードなどを鍵としてそのまま利用できるので、追加のコストなども軽減できます。

スマートフォン

普段利用しているスマートフォンを鍵にする方法もあります。スマートフォンに専用のアプリをインストールして施錠・解錠するほか、スマートフォンに表示されたQRコードを利用して入退室を行う機能もあります。

ICカードと比べて、スマートフォン自体にセキュリティロックがかかっていることや、紛失時に位置情報で探すことができる機能があるなど、安全性におけるメリットがあります。
管理の面でも、入社・退職の際にアカウントを与奪するだけでカードを回収する手間がないので、業務効率の向上、社内セキュリティの向上も期待できます。

生体認証(バイオメトリクス認証)

人が持つ生態的な特徴を利用して認証する方法です。具体的な例としては、指紋認証や静脈認証、顔認証、声紋認証などがあげられます。
人それぞれ固有の特徴を認証キーとするため、なりすましなどによる入退室を防止することができます。特に静脈認証は、同じものが2つとないため、双子でも判別が可能です。
特に重要性の高いものを取り扱う場所に使われており、入退室管理のみならずATMなどでも採用されています。

入退室管理システムを導入してできること

入退室管理システムはオフィスなどを中心にさまざまな場所で利用されています。
例えばオフィス利用の場合、のエントランスをはじめ、各部署の出入口や、個人情報を取り扱う部屋など、幅広く設置している企業もあります。

ただ、セキュリティを高めたい場所は、個人情報を取り扱うオフィスだけではありません。
例えば工場や倉庫では、材料などの無断持ち出しや窃盗、不審物の混入といったトラブルが起こりうる場合があります。
このような場所への不審者の侵入を防ぐために、入退室管理システムを導入するケースもあります。もちろん、商業ビルや病院、スポーツジムなどにおいても、同様のことが言えると思います。

ほかにも、近年の働き改革促進に伴ったサテライトオフィスの管理を実施する際に、入退室管理システムを活用するケースも見られています。

さまざまな場所に利用の幅が広がっている入退室管理システムですが、導入の背景にはどのような課題があるのでしょうか。

不法侵入の防止

企業には数多くの人々が出入りしています。
従業員や役員以外にも、取引先企業の社員や提携している清掃業者、警備員、宅配業者など、種類も様々です。
このような状況においても、施設の安全性を確保するには、入退室管理システムの導入が不可欠となってきます。システムを導入すれば人と場所を入退室権限によって紐づけ、入れる場所、入れない場所を認証権限で識別することが可能になるので、人による管理の手間を省きつつ、安全性も確保することができます。

また、万が一トラブルが生じた場合でも、入退室管理システムを導入していれば、データから遡って確認することもできます。

情報漏えい

企業ではさまざまな機密情報を取り扱っています。総務では従業員の個人情報、営業では顧客データ、開発部であれば自社商品に関する情報など、取扱いに注意しなければならないものが多々あります。
このような機密情報の安全性を保つポイントは、アクセスできる人を限定的にするというところにあります。

デジタルデータであれば、アクセス管理は容易ですが、物理的な名簿や商品サンプルなどの情報管理は、保管している空間自体の入退室管理を実施する必要があります。
入退室管理システムは不法侵入者だけでなく、社員への入室権限も限定できるので、社内情報の漏えいを防止するという面でも大きな役割を果たしています。

また、情報漏えいが起きてしまった場合や、情報セキュリティ監査が入るという状況が起きても、入退室管理システムのデータや記録によって証明することができるという利点もあります。
総合的なセキュリティレベルの向上、コンプライアンスの順守という面でも、入退室管理の徹底は、社会的な評価にもつながるというメリットもあります。

労務管理

入退室管理システムの基本的な機能として、「いつ」「誰が」「どこに」出たか/入ったかというデータを残すことができるというのは、前述の通りですが、入退室管理システムの中には、入退室データをそのまま勤怠管理の情報として反映することができるものがあります。
勤怠管理と入退室管理システムを連動することによって、ICカードキーがそのままタイムカードとして活用でき、より正確な労働時間が客観的に把握できます。また、打刻忘れなどによって生じる、労務管理工数の削減や勤務状況の見直しなどにも活用できます。

入退室管理システムの導入メリット

入退室管理システムを導入することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

コスト削減が可能に

入退室管理をシステム化させることによって、従来は人がアナログで管理していたセキュリティ管理を効率的に行うことができます。
例えば、以前は警備員を配置していたところを入退室管理システムに置き換えることで、人件費をカットすることができたり、鍵のかけ忘れや、些細な見落としなどのリスクもなく、安全かつ容易に管理できるようにできます。

また、経営管理部門などが管轄する人事異動や社内のレイアウト変更、入退職などにまつわる、都度鍵の取り換えや回収などを行う必要がないことから、人の入れ替わりが多い企業であればなおさら管理コストをカットすることができます。

正確な勤怠管理が可能

入退室管理システムの中には勤怠管理システムと連携可能なものもあります。
働き方改革が進む中で、働き方改革関連法として2019年4月から施行されている労働安全衛生法の改正により、労働時間の客観的な把握が義務化されました。
客観的な把握というのは、タイムカードによる記録やパソコンなどの電子計算機の使用時間の記録などを指します。

従来の勤怠記録は自分でタイムカードを打刻する、または勤怠システムに自分で入力するなどの主観的なものが主流で、言うなれば曖昧な仕組みであり、サービス残業など企業が過酷な長時間労働などを強いる要因の一つとなっているケースもありました。

このような状況を改善するために、従業員の出退勤時間のより正確な記録方法の見直しが可能な、客観的把握ができる勤怠管理システムの導入が推奨されるようになってきています。

入退室管理システムを勤怠管理システムと連携することによって、入退室履歴を勤怠打刻とすることができるので、従業員のより正確なオフィス滞在時間が客観的に把握できます。
加えて、無断の休日出勤や時間を超過した休憩などもシステム上で把握できるため、より正確な労務管理が可能です。
さらに、入退室データを勤怠データと連携することで打刻漏れの防止にも繋がり、月末の給与計算などにおいて、労務担当者の業務負荷軽減が期待できます。

内部不正の抑制効果

企業の情報漏えいや、不正アクセスといった行為は、部外者によって起こるものだけではありません。
情報を入手した内部の人間によって行われるケースも多くあります。
入退室管理システムによって、入室制限のある「どの部屋に」「いつ」「誰が」どのくらいの時間そこにいたかということが、正確に記録されます。
そのため内部不正の抑止力として機能することが期待できます。
これは、従業員が安心して働ける環境を整備できるという側面もあります。

シェアビジネスや会員制ビジネスにも活用できる

感染症の発生以降、テレワークや時差勤務、シェアオフィスなど、時間や場所にとらわれない働き方が注目を集めています。
入退室管理システムでは、このような多様な働き方にも効力を発揮します。

例えばクラウド型の入退室管理システムの場合は、オフィスに出社しなくても、インターネット上で入退室の確認やデジタル鍵の付与が可能、という利点があります。
また複数の企業でオフィスをシェアする場合や、コワーキングスペースなどでも、セキュリティを強化した入退室管理が行えます。
デジタルで入退室権限の与奪を行えるので、対面での鍵の受け渡しを行うことなく入退室ができるほか、遠隔操作で鍵の開閉を行うことも可能です。
これにより、無人での施設運営なども可能になり、人件費などの運営コストの削減も図ることができます。

さらに最近では、フィットネスジムやシミュレーションゴルフなどの、会員制の施設での入退室管理システムの活用も進んでいます。会員制の施設であれば、入会時に会員向けにICカードや専用アプリでの解錠権限を付与することで、会員は自分の使いたい時に施設に入退室できるといったメリットがあります。

また、入退室管理システムと会員管理・予約管理システムなどを連携させることで、会員種別ごとの解錠可能な時間帯の設定や予約管理システムとの連携による日時限定の解錠権限設定、利用時間に応じた課金も可能になるなど、会員制施設運営の業務効率化や無人化/省人化を通じた運営コストの削減など様々なメリットが期待できます。

入退室管理システムを活用することで、さまざまな働き方やオフィス運営・施設運営のあり方を見直すことができるでしょう。

入退室管理システムのデメリット

利便性の高い入退室管理システムでも、万能ではありません。
鍵の代用となるツールが持つ特性によって生じるデメリットもあります。

ICカード、スマートフォンの紛失・故障などのトラブル

安価であったり、携帯のしやすさから、多くの企業が導入しているICカードですが、大勢が所持しているが故のデメリットもあります。
例えば、手軽かつ常時携帯していることによる紛失や盗難で不正入室が起こりうるリスクです。

また、権限のない従業員が権限のある従業員のカードを借りて入退室するケースも考えられます。
多くのビジネスパーソンが持っているカードだからこそ、便利である一方、トラブルにおけるリスク対策を講じる必要があります。

スマートフォンによる入退室も同様で、端末がなければ鍵が開けられないのは言うまでもないですが、スマートフォンを所持していても、電池が切れている場合は入退室ができません。
肌身離さず持っているというメリットがある一方で、電池切れや故障といったケースを考慮し、対応策を考えておく必要があります。

生体認証がうまく反応しないことがある

生体認証を利用する場合、精度が高い一方でICカードなどと比べて、認証までに時間がかかるというデメリットがあります。また指紋認証や静脈認証においては、ケガをしている場合や湿度などの気候によって認証に影響が出ることも考えられます。

例えば、指紋認証であれば、指に傷ができている、雨で指が濡れている場合、静脈認証であれば、寒い日に血管が収縮している場合でも、認証しにくくなります。
また、カメラとソフトウェアの性能にもよりますが、顔認証においても髪型や眼鏡、マスクなどによって認証対応できないことがあるため注意が必要です。

費用がかさむ

セキュリティ効果が高い入退室管理システムは、導入コストが比較的高いという傾向があります。低価格化が進んでいるものの、ICカードなどを主に使用する入退室管理システムと比較すると、特に生体認証機能付きのシステムなどでは価格はまだ高い傾向にあります。
また、運用においてランニングコストがかかることも考慮しなければなりません。サービス利用料やメンテナンス料などの中長期的な保守費用なども考慮し、導入を検討する必要があります。

来訪者対応が課題となる場合も

生体認証の場合は取引先の担当者など、社外の人が来社した場合の対応を考えておく必要があります。
ICカードは来客専用のもの、スマホの場合は当日のみ有効なQRコードを発行することで対応できます。

しかし、生体認証の場合は、認証に事前登録が必要となるケースがほとんどです。しかしながら、外部の業者などでは毎回来社する人が同じではないケースもある一方、来社する可能性のある人を全て登録したり、担当者が変わるたびに削除・再登録することも業務負荷が高く、またセキュリティ的にも好ましい運用ではありません。
そのため、あらかじめ導入前に、来訪者対応のフローなどを作成しておくことが必要です。

入退室管理システムを選ぶポイント

入退室管理システムを実際に導入する際は、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
どのようなポイントに焦点を当て、入退室管理システムを選ぶべきなのでしょうか。

目的を明確にする

まず大切なことは、入退室管理システムの導入にあたっての自社の目的や課題を明確にすることです。セキュリティを強化したい、入退室の時間の記録を重視したいなど、自社の目的により選ぶべきシステムは異なります。
また認証の方法についても決めておくといいでしょう。

ICカードであれば作成自体も安価で、交通系ICカードも流用できますし、スマートフォンであれば基本的にユーザー全員が所持しています。
生体認証であればより強固なセキュリティとなります。このように目的と方法から逆算することで、ニーズにあった入退室管理システムを検討しましょう。

機器の設置方法と扉の種類

入退室管理システムには、既存の鍵に後付けするものと、鍵本体を交換するなど工事が必要なものがあります。後付けのものは、扉に設置するだけなので安価に設置することができます。

また、基本的には設置工事は必要ないとされているので、賃貸オフィスや社内の会議室、倉庫などに特にオーナーや管理会社の許諾や申請などの必要もなく簡単に設置ができます。
一方、鍵そのものを交換する工事を伴う入退室管理システムの場合は、比較的耐久年数も長く給電も電源から有線で供給される場合がほとんどなので、長期間の継続的な利用が可能です。

ただし、工事の初期費用が発生するほか、賃貸オフィスの場合はそもそも工事NGである場合も多く見受けられますし、もし工事がOKな場合でも書類による申請や手続きなどで多くの工数がかかる場合もあり、さらに現状回復に費用が発生することが考えられますので事前の確認が必要です。

システム自体の管理・運用が可能か?

入退室管理システムを導入する場合、システムの管理自体を誰がどのように行うかを決めておくことも大切です。
例えば、システムの管理は誰が権限を持つのか?ICカードを誰が管理するのか?来客や非常時の対応はどうするのか?など、運用ルールを事前に決める必要があります。
従業員の数や業態によって、管理者や管理部門が円滑に運営しやすい方法を選ぶべきでしょう。
また、従業員への理解や協力などを得ることも必要です。入退室管理システムを導入する目的やデータの活用などについても、事前の周知を欠かさないようにしましょう。

他のシステム連携ができるか

入退室管理システムの中には、入退室データを、他のシステムと連携することで、業務効率化につなげられるものもあります。
勤怠管理システムがその良い例です。入退室の履歴を勤怠管理システムで打刻すると、働き方改革の取り組みに活用でき、業務の生産性や効率性の向上も期待できるでしょう。
また防犯対策としては、監視カメラや警備システムと連携する方法もあります。

サポート体制の充実

サポート体制が整った入退室管理システムを選定すれば、トラブルが起きた際にも安心です。故障による締め出しや、データ連携のトラブルなどが起きた場合でも迅速に対応できるような、サービス運営企業のサポート体制にも注目しながらシステム選びを行うといいでしょう。

まとめ

入退室管理システムの導入によって、セキュリティの強化や、さまざまな業務の効率化が期待できます。導入の目的や会社の規模、状況を明確にし、自社に合った入退室管理システムを選びましょう。

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