勤怠管理における経費削減のポイント

2022年11月14日
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はじめに

従業員の勤怠状況を把握するために、タイムカードによる出退勤時間の打刻を行っている企業も多いと思います。しかしながら、出勤・退勤時間を打刻するタイムカードで勤怠管理を行っている場合、毎月の締め作業時の労働時間の集計や打刻漏れ、打刻ミスなどの修正に大きな手間がかかります。従業員数が多い企業ほどその工数も膨大となり、作業を行う従業員の人件費もかさんでしまいがちです。

Excelなどに手入力で書き込むような勤怠管理を行っている場合、入力ミスなどの修正も手入力で行う必要があり、こうした勤怠管理にかかる工数削減、ひいては労務管理者の残業代などを含む経費削減のためには、効率的な勤怠管理が可能な勤怠管理システムの導入が有効です。

今回は、毎月の勤怠管理にかかる経費をできるだけ削減したい経営者や人事労務担当者向けに、勤怠管理にかかる経費の削減ポイントや、勤怠管理システム導入で具体的にどのような経費が削減できるのか、そのメリットについて解説します。

勤怠管理にかかる経費

タイムカードなどの備品や消耗品にかかる費用

勤怠管理をタイムカードで行っている場合、従業員の人数分のカードと、出退勤時間を打刻するタイムレコーダー、印刷用のトナー、タイムカードホルダーなどが必要となります。タイムカードやトナーは消耗品であり、タイムレコーダーも使い続けて故障した場合は買い替えが必要な備品です。

従業員数の多い企業では、事業所や執務室ごとにタイムレコーダーを設置する必要があり、備品の購入費用や勤怠管理にかかる消耗品の費用がかさみます。また、労働基準法第109条では、タイムカードの保管期間は5年と定められているため、カードを保管するためのスペースと管理コストもかかります。

また、各拠点で打刻したタイムカードを本部で一括して集計している企業の場合は、地方拠点などからタイムカードを郵送するコストも毎月発生しています。

タイムカードの集計や不正打刻/打刻ミスの修正にかかる人件費

タイムカードで勤怠管理を行っている場合、労働時間などの集計作業に毎月多くの工数が発生し、労務や総務担当の残業代などの人件費がかさむ傾向にあります。タイムカードによる勤怠管理では、途中での中締め集計に作業時間をとることが難しく、月末にならなければ従業員の出社日数や労働時間の合計を把握できません。

また、不正打刻や打刻ミスがあった場合も、該当の従業員や上長に確認して正確な出退勤時間に訂正する手間も発生します。担当者が行うこれら集計作業や訂正・確認の作業に毎月多くの工数とその分の人件費がかかっている企業も少なくありません。

Excelで従業員の勤怠管理を行っている企業でも、紙のタイムカードと比べて多少集計の手間が省ける程度で、確認や修正に対する工数はさほど変わらないのではないでしょうか。

つまり、アナログ管理の場合、これら毎月の締め作業の度に発生する集計や訂正作業は多くの工数と人件費がかかり、大きな人的/金銭的コストとなっています。

勤怠管理の締め作業で必ず確認が必要な項目(参考)
  • 労働日ごとの労働時間とその合計
  • 時間外労働の労働時間とその合計
  • 休日出勤した場合などの法定外労働時間
  • 年次有給休暇の残日数

給与計算にかかる人件費

タイムカードやExcelで従業員の労働時間を計算した後は、その数字をもとに給与計算を行いますが、この際、専用の給与計算ソフトなどを使わず手入力で計算で行っていると、計算ミスの確認やダブルチェックなどの作業が必要になります。

給与計算では、労働時間の合計の他にも、月給制の正社員や時給制のアルバイトやパート従業員などでは計算式が異なります。これにより、さまざまな雇用形態の従業員がいる企業では、給与計算ミスが多く発生しやすいと言えるでしょう。

給与計算作業のデジタル化や効率化が進んでいない企業では、毎月の給与支払い日前に担当者が残業をするといった働き方が常態化しているケースも珍しくありません。給与計算の工数と、残業代を含む人件費を削減するには、より使いやすい給与ソフトの活用や、作業の効率化を進める必要があります。

勤怠管理における経費削減のポイント

勤怠管理において経費削減を進めるには、手作業で行っている作業をITツールなどで自動化し、社内の勤怠状況を「見える化」していく必要があります。以下で具体的なポイントをそれぞれ紹介します。

勤怠管理を自動化し作業効率を上げる

タイムカードで勤怠管理を行っている企業では、比較的高いコストがかかっているのが、集計をする工数分の人件費です。この集計作業を自動化するだけでも、作業効率がアップし、毎月の勤怠管理にかかっている時間を大幅に削減することが期待できます。

具体的には出勤・退勤時間の打刻時間を基に、各執務場所の従業員の日々の労働時間を自動集計できるシステムを導入することが望ましいでしょう。

リアルタイムの勤怠状況を把握できるようにする

「この従業員の労働時間の合計はどれくらいか」「出社日数は何日か」などの勤怠状況をリアルタイムに確認できる仕組みを取り入れることで、月末の締め日を待たずにその都度、労働時間を把握できます。

タイムカードの勤怠管理の場合、中間集計を実施することが難しい場合が多いため、通常であれば月末にならなければ従業員の労働時間を把握することはできませんが、リアルタイムで記録・把握ができれば、途中で労働時間の合計や打刻ミスなどを確認することができ、集計作業も効率化できます。

また、リアルタイムに社内の総労働時間や各従業員の労働時間などの把握が可能になれば、働きすぎ防止や人的リソース配分の可視化などにより、人件費のコントロールもしやすくなります。

例えば、特定の月の前半で休日出勤や残業時間が多い従業員がいた場合、月の後半に残業が発生しないようシフトを組んだり、サポートの従業員を配置したりすることで残業時間や残業代などの割増賃金を抑えることも可能です。

システム導入によってリアルタイムに勤怠状況を把握することは、日々の勤怠管理の効率化や月末月初の締め作業に伴う残業などの人件費の削減、人的リソース配分の最適化のためには必須と言ってもよいでしょう。

不正打刻や打刻ミスを防ぐ

タイムカードやExcelなどの勤怠管理では把握が難しかった不正打刻や打刻ミスは、ICカードや生体認証などで打刻をするシステムの導入によってある程度防ぐことができます。

オフィスや工場などの入退室時に打刻が必要なシステムを導入すれば、実際より長く働いたと見せる不正打刻も難しくなるほか、入室と退室がそのまま打刻になるので、タイムカードの打刻し忘れなどのミスも起きにくくなります。

また、勤怠管理システムのほとんどが従業員の出退勤状況を担当者が一元管理できる機能を備えていますので、打刻ミスが発生した場合の確認と修正も迅速に行うことが可能です。

このような勤怠管理システムの導入により、勤怠締め作業での都度の確認も不要となり、スムーズかつ効率的な勤怠管理に役立ちます。

さまざまな雇用形態に対応した管理を行う

アルバイトやパート、派遣社員などさまざまな雇用形態に応じた勤怠管理を効率的に行うことで、勤怠管理業務や給与計算の効率化が見込めます。企業がそれぞれの働き方に応じた勤怠管理を行う必要があるのは主に以下の4つの雇用形態です。

  • 正社員(フルタイムまたは時短勤務)
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • アルバイトやパートの従業員
参考:厚生労働省|「さまざまな雇用形態

これら雇用形態ごとに勤怠管理を行うには、それぞれの雇用形態によって日々の労働時間の集計も別々に行うことで混乱が少なく、正確な労働時間を給与計算に反映させやすいためです。

例えば月給制で8時間のフルタイム勤務が基準の正社員や、希望したシフトで勤務を行うアルバイトやパートの従業員では、一日または月々の労働時間が異なります。月給制の場合、欠勤や早退などで労働時間が足りない場合は指定の計算式に基づいた金額を引いて給与計算をします。一方、アルバイトやパート従業員は欠勤・早退した場合、減った労働時間と時給を掛けた金額が給与から引かれます。

このように、労働時間の扱いも雇用形態ごとに異なるケースがあるため、それぞれに応じた勤怠管理とそれに伴う給与計算を行う必要があるのです。

また、正社員の場合はフルタイム、時短勤務やフレックスタイム制、裁量労働制などそれぞれの勤務形態によって労働時間の管理方法が異なります。そのため、全社的な勤怠管理業務の効率化のためにも、雇用形態だけでなく勤務形態に応じた勤怠管理が自動で行えるシステムの導入が望ましいでしょう。

勤怠管理システムを導入するメリット

労務管理の効率化や経費削減を実現する上で、勤怠管理システムを導入するメリットを解説します。

勤怠締め作業にかかる工数・人件費を大幅削減できる

勤怠管理システムの導入により、月々の従業員の労働時間を自動で計算できるため、手作業で集計するよりも締め作業にかかる工数とその分の人件費を削減できます。

従来のタイムカードの打刻を手作業で集計するためにかかっていた工数が大幅に減るため、締め作業にかかっていた残業代の削減にもつながる可能性があります。また、入退室管理システムと併用すれば、不正打刻や打刻ミスが起きにくく、締め作業の効率化が可能です。

勤怠管理システムを通じた労務管理の自動化により、担当者は締め作業の集計にかけていた時間を他の業務に割くことができ、バックオフィス部門全体の生産性アップも期待できます。

タイムカード打刻に必要な消耗品が不要

タイムカードでの勤怠管理から勤怠管理システムに移行した場合、毎月発生していたタイムカードやトナーなどの消耗品が不要になり、その分の経費削減になります。

さらに、自社のパソコンや従業員のスマホ、社員証などで打刻を行う勤怠管理システムなら、勤怠打刻のための備品を購入したり、買い替えたりする必要もありません。ICカードや生体認証による打刻を行う勤怠管理システムには、打刻用の機器をレンタルできるサービスもあるので、自社の環境に合わせたシステムを検討するのが良いでしょう。

ペーパーレス化を推進できる

タイムカードから勤怠管理システムに変更する場合、タイムカードの集計作業が不要になるだけでなく、ペーパーレス化を推進できるというメリットがあります。

タイムカードによる勤怠管理の場合、法律の要請によりタイムカードを5年間保存する必要があるため、そのための管理コストや保存スペースなどが必要となります。何よりも、アナログ管理での保存は紛失などの可能性もあるため情報セキュリティリスクも高句なることが想定されます。一方、勤怠管理システムの場合は、クラウドなどに勤怠に関する記録を保存できるため、紙管理によって発生していた手間やリスクを軽減できます。

勤怠状況のリアルタイム把握で業務を効率化

勤怠管理システムの導入により、勤怠状況をリアルタイムに把握できるようになれば、その時点での労働時間の合計や出退勤の状況などを都度把握できます。

管理画面上で従業員一人ひとりや部署、拠点ごとの労働時間や休暇取得の状況、打刻漏れが発生していないかなどの確認ができるため、締め日前にあらかじめ確認したり、必要に応じて修正することも可能になります。

また、リアルタイムに残業時間も含めた労働時間の把握もできるシステムであれば、法定労働時間や36協定で決めた残業上限時間を超えないよう、従業員の働き方をコントロールすることも可能です。こうしたリアルタイムの勤怠状況データの活用は、締め作業の余分な手間の削減や過度な残業の発生を防ぐなど人件費削減やコンプライアンス対策にも有効となります。

アルバイトや派遣社員ごとの効率的な勤怠管理が可能

勤怠管理システムのなかには、雇用形態ごとに従業員データを登録できるタイプもあり、タイムカードやExcelでは難しかった雇用形態ごとの勤怠管理も可能です。個別に設定された指定の勤務時間や休日数など、正社員とは労働条件が異なるアルバイトやパート、派遣社員、契約社員などを勤怠管理システム上で別々の区分で管理することによって、他の雇用形態と混同することなく労働時間の集計も正確に実施できます。

給与計算システムと連携できる

多くの勤怠管理システムは給与計算のシステムやソフトと連携できる機能を備えており、勤怠管理システム上の従業員の労働時間の集計データをシームレスかつ自動的に給与計算に反映できます。この連携機能により、給与計算のミスも軽減でき、さらに工数や人件費の削減も可能になります。

経費削減に向けた勤怠管理システムの導入のポイント

ここでは、経費削減を目的とした勤怠管理システム導入の際に留意したいポイントを2つ紹介します。

ランニングコストの比較を行う

勤怠管理システムには、大きく分けてクラウド型の勤怠管理システムと、パッケージ型(オンプレミス型)の勤怠管理システムが存在します。

勤怠管理にかかる経費削減のためシステムを導入する場合、自社の従業員数や従業員の労働形態などを考慮してクラウド型とパッケージ型の勤怠管理システムのランニングコスト(維持費用)を比較し、将来的なコスト減を見込めるものを検討しましょう。

クラウド型の勤怠管理システムは専用サーバーが不要でインターネット環境さえあれば比較的導入が容易であり、月額制の料金体系のものが多く初期費用もパッケージ型よりも安価です。月額の維持費用は、利用する従業員によって異なる場合が多く、利用するユーザー1人につき数百円程度の費用がかかるという料金を設定しているケースがほとんどです。

パッケージ型は、初期費用が数十万円以上かかる場合が多く、維持費用は専用サーバーの保守運用費、システムメンテナンス費用、ソフトウェアのアップデート費用などが考えられます。

こちらは、メンテナンスを自社で行う場合もあるため、システムエンジニアなどのスタッフが必要になることもあります。メリットとしては、クラウド型と比べて自社内にデータを保管できるなど強固なセキュリティ環境を構築できる点です。

自社の従業員の働き方に合った打刻方法があるか確認する

勤怠管理システムは、パソコン、スマートフォン、ICカード、生体認証など、さまざまな打刻方法を選べるタイプがあります。テレワークの従業員が多い企業や、直行直帰の営業職が多い企業など、従業員の働く環境によって打刻方法は異なるため、自社に必要な打刻方法が選べるかどうかを確認しましょう。

まとめ

今回は、経営者や人事、労務や総務などのバックオフィス部門担当者向けに勤怠管理システムを導入することで実現できる工数や人件費などのコストの削減方法について解説しました。

勤怠に関連した経費削減には勤怠管理システムによる効率化が有効ですが、業務にかかる工数を減らし経費削減につなげる以外にも、正確かつ法令を順守した勤怠管理が可能になり、労務リスクの削減にも有効です。

今回紹介した勤怠管理に関する経費削減のポイントとシステム導入のメリットを参考に、どの場面でコスト削減を実施したいかを確認し、自社にとって有効な勤怠管理システムの選定に役立ててください。

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