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はじめに
柔軟な時間帯の範囲で柔軟に出退勤できるフレックスタイム制には、無駄な残業の削減や従業員のワークライフバランスの充実などさまざまなメリットがありますが、「導入に際してデメリットはないのか」と不安を持つ企業の経営者や労務の担当者も多いのではないでしょうか。
フレックスタイム制の導入で特に課題となるのが、従業員の労働管理や勤怠管理、オフィスの設備管理に関するデメリットです。これらデメリットへの対策を取らずにフレックスタイム制を導入すると、生産性の低下、従業員の負担や不満の増加、セキュリティリスクの増大といった問題が生じる恐れがあります。
ただし、こうした課題はシステムを導入することで改善が可能です。そこでこの記事では、フレックスタイム制のメリットを最大限に活かし、デメリットを回避するための対策をご紹介します。
この記事を最後までお読みいただくと、フレックスタイム制に必要な対策が分かり、導入前に万全の態勢を作ることができます。フレックスタイム制の導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
- フレックスタイム制のデメリット
- フレックスタイム制の導入前に行うべき対策
- フレックスタイム制に役に立つ管理システム
フレックスタイム制のデメリット
フレックスタイム制の導入にはどのような効果があるのでしょうか。導入を考えるためにまずはフレックスタイム制のデメリットを確認しましょう。
フレックスタイム制の導入で課題となるのは主に以下のものが挙げられます。
- 従業員の労務管理が難しくなる
- 従業員の勤怠管理が難しくなる
- オフィスの設備管理が難しくなる
従業員の労務管理が難しくなる
フレックスタイム制にすると、全従業員が行っている仕事内容、進捗、かかった工数などの労務管理が難しくなるという問題が発生します。また大きな課題となるのが情報共有におけるコミュニケーション不足です。コミュニケーション不足による問題は社外、社内ともに発生する可能性があります。
社外へのデメリット
労務管理ができていないと業務の進捗状況などの把握ができず、取引先への対応にも問題が生まれる可能性があります。たとえば取引先からチームメンバーの業務の進行に関しての問い合わせがあった場合でも、迅速な回答や対応ができずに顧客からの信用を損なってしまう恐れがあります。
社内へのデメリット
フレックスタイム制はフレックス対象となる時間帯の範囲内で各従業員の出社時間が変化するため、複数人で集まる会議が実施しにくくなります。また、業務に関する相談や新人、部下の育成がしにくくなったり、上司からの承認をもらうのに時間がかかったりすることで、生産性が下がってしまう可能性があります。
従業員の勤怠管理が難しくなる
フレックスタイム制の導入で大きな影響を受けるのが従業員の勤怠管理です。フレックスタイム制を導入すると従業員の出退勤時間が人によって違うため、従来の方法では管理が不十分になる場合があります。
とはいえ、出退勤管理を従業員ひとり1人に任せてしまうとミスや不正が発生してしまい、工数管理や給与計算などそのほかの業務にも支障をきたす恐れがあるので注意が必要です。
オフィスの設備管理が難しくなる
フレックスタイム制にすると従業員の出退勤時間が一人ひとり、また日々変わるため、オフィスの設備管理も難しくなります。たとえば、以下のような問題が考えられます。
- エアコンや照明をいつ誰が消すのか
- 営業時間外の留守番電話の設定と解除はできているか
- 解錠や施錠は問題なくできているか
特に
フレックスタイム制のデメリットへの対策
ここまで見てきたようにフレックスタイム制を導入する際は、いくつかの対策を行うことが重要です。フレックスタイム制のデメリットを回避するために必要な主な対策は以下の通りです。
- 適切なコアタイムの設定
- タスク管理・情報共有のためのシステムの導入
- 勤怠管理システムの導入
- セキュリティ管理システムの共有
適切なコアタイムの設定
フレックスタイム制のなかで取引先・顧客との連絡や、社内のコミュニケーションを取りやすくするためには、「適切なコアタイムの設定」が重要な対策になります。
コアタイムは必須ではありませんが、従業員全員が必ず勤務しなければならない時間帯を設定することで取引先・顧客との連絡が付きやすくなったり、社内で会議を設定したりコミュニケーションを取りやすくなったりします。
適切なコアタイムの設定を行うには、以下の条件を満たしている時間帯に設定する必要があります。
- 顧客や・取引先からの連絡が多い時間帯
- 全職種が最も集まりやすい時間帯
- フレキシブルタイム範囲内の時間帯
コアタイムの設定方法やフレックスタイム制の仕組み、導入効果などについてもっと知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
フレックスタイム制を分かりやすく図説|導入効果やメリット・デメリット、注意点まで解説
タスク管理・情報共有のためのシステムの導入
コアタイムを設定してもフレキシブルタイムは人により異なります。その時間帯も情報共有をスムーズにし、円滑なコミュニケーションを取る方法としてタスク管理・情報共有システムを活用する方法があります。
チャットツール
チャットツールとは
社内のコミュニケーションツールとして従来のメールを利用することもできますが、メールよりも会話のようにやり取りができるため、ビジネスメールの量を増やさずに気軽にコミュニケーションを取ることができます。
また、事業部やタスクごとにチャットグループを作ることで、チームごとにコミュニケーションや情報共有もしやすくなるでしょう。
タスク管理システム
タスク管理システムとは、従業員が遂行すべき業務内容や各部署からの情報などを一括管理できるシステムです。チャットツールが個人間やチーム間の会話に活用できるのに対し、タスク管理システムは業務を遂行するための作業単位で進捗管理や情報共有に使用することができ、クラウド型サービスとして利用できるシステムも多くあります。
このシステムを活用すれば、たとえば担当者が不在時に取引先から問い合わせがあった場合、代理のメンバーでも現在の進捗や内容を把握した状態で対応することができます。また、上長への承認申請もシステム内で行うことができるシステムもあるため、承認の待ち時間を減らすこともでき、生産性を向上させることもできるでしょう。
勤怠管理システムの導入
フレックスタイム制の導入で最も管理が難しくなるのが勤怠管理です。個人の申告に任せているとミスや不正が発生する可能性があります。これらの課題を解決するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムは出退勤の打刻を行ったり、遅刻・早退・有給などの申請をしたりできるシステムです。従業員一人ひとりが固有のICカードやスマートフォン、PCなどで出退勤の打刻をするため、客観的な勤怠管理が行えます。また、多くの勤怠管理システムが上長の申請がないと打刻修正が行えない機能を実装しており、不正打刻やサービス残業などの不正も防ぐことができます。
加えて、クラウド型であれば、打刻忘れや遅刻・早退、有給取得などの申請もネット上でどこからでも行えるので場所を選ばない働き方にも対応できるなど便利です。勤怠管理のペーパーレス化や労務担当者の作業も削減できるため、効率的に勤怠管理を行うことができます。
入退室管理システムの導入
従業員の出退勤時間にばらつきが生まれるフレックスタイム制によって管理が難しくなるオフィスのセキュリティ対策には、入退室管理システムの導入がおすすめです。入退室管理システムとは、ICカードや社員証などでオフィスの解錠・施錠ができると同時に、人の出入りを記録できるシステムです。
入退室管理システムを導入すれば、従業員はオフィスの扉などの施解錠権限を付与されたIDカードやスマホアプリを使ってオフィスの入退室ができます。入退室履歴は個人IDと共に記録を残すことができるので、誰がいつ社内に入ったか/出たかという実態を把握・記録することができます。
入退室管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
オフィスに入退室管理システムを導入する際のポイント
勤怠管理とも連動できるAkerun入退室管理システム
フレックスタイム制のデメリット対策として有効な勤怠管理と入退室管理ですが、それぞれ別々のシステムで管理するのは非効率です。そこでおすすめなのが、勤怠管理と連動できるAkerun入退室管理システムです。
Akerunは、工事不要のスマートロック型入退室管理システムです。既存のドアに貼り付けて設置するだけで入退室管理ができるようになるだけでなく、様々な勤怠管理システムと連携して活用することも可能です。フレックスタイム制の課題である勤怠管理とオフィス管理を同時に解決することができます。
クラウド型の入退室管理システムであるAkerunはAPIを通じてさまざまなクラウドサービスとも連携することが可能。勤怠管理以外にも予約管理や決済、会員管理、顔認証、メール、チャットツールなどとも連携できるため、ビジネスニーズにあったサービスと連携させることができます。
フレックスタイム制を導入するなら、勤怠管理とオフィスセキュリティ対策として、ぜひAkerun入退室管理システムを検討してみてください。
従業員にとってのフレックスタイム制のデメリットも考える
今回ご紹介したデメリットは企業側が対策すべき内容でしたが、より良い会社づくりをするためには、従業員側のデメリットについてもしっかりと考えることが必要です。フレックスタイム制を導入することによる従業員のデメリットには以下のようなものが挙げられます。
- 出社時間がばらつくことによる適正な人事評価への影響
- 職種・部署や業務内容によってはフレックスタイム制を活用しきれず不満が出る
フレックスタイム制にすると出退勤時間に差が出るため、上司や評価担当者と同時間帯に多く仕事している人としていない人の差が出て、評価に影響する可能性があります。評価する側の目に触れる時間があるかどうか、コミュニケーションの時間が多いか少ないかなどによって、多少なりとも人事評価に影響を及ぼすかもしれません。
また、職種や業務内容によってはフレックスタイム制を活かしづらいケースも出てきます。業務内容によってはフレックスタイム制が馴染まないような場合、その業務に従事する従業員にとってはフラストレーションとなってしまうのです。
こうした制度の格差解消のためには、企業にとっても部署や従業員ごとに生産性があがる対策や勤務制度を取ることが有効的です。おすすめの対策をご紹介します。
明確化された成果報酬制を導入する
出社時間がばらつくことによる適正な人事評価への影響が懸念される場合、成果報酬制度を導入することで解決できる可能性があります。
成果報酬制度とは、業務の量や達成度を数値化し、明確なランクを設けることで正当な評価を行う方法です。近年では特に各従業員に適正な目標を自ら設定してもらい、それに対し評価をする形が主流となっています。
成果報酬制度にすることで、フレックスタイム制により上司や評価担当者とすれ違いの多い従業員でも正当な評価を受けることができるため、不満が生まれにくくなります。また各自で目標設定をすることで、より能動的に目標達成を意識するようになり、生産性の工場にもつながるでしょう。
業務の属人化を止める
職種・部署によってフレックスタイム制を取りづらい問題は、たとえば個人に依存した業務の属人化をやめることで解決できる可能性があります。
たとえば営業職やエンジニア職の場合、顧客企業の担当者を1人ではなく2名体制にすることで、1人が不在になってももう1人が対応できる状況を用意します。そうすることで、2名の間で話し合って、フレックスタイム制を活用するという方法です。
また、フレックスタイム制導入にあたっては就業規則に詳細内容を明記し、従業員に十分な理解を得ることも必要です。もしも誰かの不満が出た場合は、従来の体制にこだわらずに広い視野で解決策を見いだすことで、会社も現状からさらなる成長ができるでしょう。
まとめ
フレックスタイム制の導入は、従業員のリソースを有効活用し、無駄な残業を減らすと同時に、従業員のワークライフバランスを取りやすくするシステムです。
一方で、従業員の出退勤時間が日々変化するため、従業員の労務管理や勤怠管理、オフィス施設管理が困難になるなど、さまざまなデメリットが生じる恐れもありまが、労務管理、勤怠管理、オフィス管理に有効なシステムを導入することで、こうしたデメリットを回避し、フレックスタイム制度の強みを最大限に引き出すこともできます。
フレックスタイム制を導入する際には、自社でどんな課題が想定されるかを話し合い、必要に応じてシステムを導入するなどの対策を取るとよいでしょう。会社にとっても従業員にとってもメリットのあるフレックスタイム制となるよう、事前のデメリット対策を考えてみてください。