DXによるバックオフィス業務効率化の方法とは

2022年10月18日
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はじめに

企業の業務にはさまざまな種類があり、大まかにフロントオフィス業務とバックオフィス業務に分けられます。 中でもバックオフィス業務を効率化する方法として、DX(Digital Transfotmation)が推奨されることも多くなってきています。 デジタル技術や各種デジタル端末の発展により、DXに取り組むための環境が整ってきていることもDXが注目されるようになった理由の一つです。 しかし、DXがどのようにバックオフィス業務に関わるのか、また、どう推し進めるべきかお悩みのバックオフィス業務担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、勤怠管理システムの導入を軸に、DXによるバックオフィス業務の効率化についてご紹介します。

バックオフィス業務とは

バックオフィス業務とは、企業の業務の中でも顧客や外部のパートナーなどと直接関わりを持つ「フロントオフィス業務」に対し、原則として顧客とは直接関わらず、主に社内で完結する業務のことを指します。
具体的には、人事労務・総務や経理、庶務や営業事務などが当てはまります。 バックオフィス業務は顧客と直接関わることは少ないため、直接的な利益を生み出す業務ではありませんが、フロントオフィス業務を支える重要な業務です。

バックオフィス業務の課題

バックオフィス業務には各領域によってさまざまな課題があり、なかなか業務効率化に至れないケースが多く見られます。 例えば、以下のような課題があります。

業務が属人化しやすい

バックオフィス業務の最大の問題として、会計や法務などを筆頭に専門的な知識が必要な業務が多く、業務が属人化しやすいことが挙げられます。
例えば、経理などは専門の資格を必要とする業務も多く、担当者が休むと他の人ではわからない、手をつけられないということも少なくありません。 しかし、担当者に業務が集中するということは、それがボトルネックとなって業務が回らない状況が生まれ得るということであり、効率化を妨げる要因にもなりえます。

慢性的な人手不足

バックオフィスはフロントオフィスと比べて直接的に顧客と接点を持ち利益を生み出すことは少ないことなどから人的なリソースに割く予算が潤沢でない場合があります。 つまり、最小限の人手で業務を回さざるを得ない状態に陥りやすいと言えます。
また、専門知識が必要な業務が多いことから気軽に手伝うといったことが難しいということもあります。 さらに、そういった専門的な知識が必要とされるために採用が難しいことも人手不足になりやすい理由の一つです。

業務量が多い

前述の人手不足とも関連しますが、バックオフィス業務は担当スタッフ数に対して業務量が多くなりがちな部署です。 そもそもの業務量が単純に多いこともありますが、手続きが複雑な業務やミスが許されない入力作業なども多く、確認、修正などにリソースを割かなくてはならないため膨大な工数が必要となります。
また、他部署と連携して行う業務や問い合わせ対応に追われることも少なくないため、本来の業務に注力する時間がとれず、結果として業務量が多くなってしまう傾向があります。

DXを駆使したバックオフィス業務効率化の方法

前述のように、バックオフィス業務にはさまざまな課題がありますが、これらの課題を解決し、業務効率化を達成するための方法として、DXが考えられます。
DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を活用することで業務や企業の体制を根本的に変革し、作業フローを改善したり新たなビジネスモデルを創出したりすることを指します。

つまり、DXはデジタルによる単なる効率化ではなく、デジタル技術を使って新たな価値を生み出したり、企業の競争力を高めたりすることが大きな目的です。
また、DXが推奨される背景には、手直ししながら使い続けてきたレガシーシステムが複雑化してしまい、ブラックボックス化してしまったことによる「2025年の崖」と呼ばれる問題もあります。

「2025年の崖」では、レガシーシステムを使い続けることでDXが進まず、業務全体の見直しを行うにも現場の抵抗などにより、なかなか変革に踏み切れないことが問題視されています。
そのままレガシーシステムを使い続けてDXが進まず、業務変革に至らなかった場合、2025年以降、最大で年間12兆円もの経済損失が生まれるのではないかと言われています。

こうしたことから、バックオフィスも含めて各企業では既存のレガシーシステムや業務体制を変革し、DXを推し進めていくことが推奨されています。
しかし、IT人材の不足などにより思うように進んでいないことも事実です。人材や知識の不足によってDXが進まない現状を打破するためには、アウトソーシングやRPA、各種クラウドサービスなどの導入がおすすめです。

アウトソーシング

アウトソーシングとは、社外に業務を依頼・委託することを言います。
人材不足を最も素早く解決できる手段であり、特に専門知識を有する従業員のリソースが足りない、業務が属人化しすぎていて変革できない、IT人材の不足でDXがなかなか進まないといったケースではアウトソーシングを活用するという手もあります。

アウトソーシングではバックオフィス業務に深い知見やノウハウを持った人材や、IT・DXに関する知識を持った人材に業務を依頼・委託することができます。
そのため、即戦力としての活躍を期待でき、新たに人材を雇用するよりもコストパフォーマンスに優れた働きをしてくれることが期待できるでしょう。

また、アウトソーシングと言ってもすべての業務を任せる必要はありません。 従業員はコア業務を中心に行い、他部署からの問い合わせや雑務のみを任せるなど、業務内容や注力分野に応じて必要な分だけ利用する方法もあります。
アウトソーシングのリソースと社内のリソースを上手に配分し、活用していくことが重要です。

RPA

RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略です。 日常的に発生する定型的な業務をAIや機械学習などに代替できます。
具体的には、各種データ入力やチェック作業、データの分析や連携、さらには問い合わせ対応などが当てはまります。単純に人的リソースが足りないものの、アウトソーシングを依頼するほど専門的な業務でもない、といった場合はRPAが役立つでしょう。

RPAを導入すれば、人的リソースを割くことなく必要な時間に必要な業務を行えます。
また、人的リソースでは避けようがなかったヒューマンエラーもRPAなら大幅に減らすことが可能です。 結果的にヒューマンエラーが起こったときの手戻りや復旧のための手間やコスト、新たなリソースの消費も避けられます。
また、AIや機械学習であれば24時間稼働できることから、バックオフィス業務全体の作業スピードアップにもつながることも期待できます。

クラウドサービス

社内システムやツールにクラウドサービスを導入することも、DXを含めたバックオフィス業務の効率化につながります。
従来の社内システムやビジネスツールでは社内にサーバー環境などを構築するオンプレミス型が主流でしたが、各種クラウドサービスのセキュリティ対策などの信頼性が業務利用できるほど高まったこと、インターネット回線や各種業務端末の性能が上がったことなどからクラウドサービスを利用する企業は増えています。

クラウドサービスは、オンプレミスに比べて導入コストが少なく済むことが多く、手軽にデジタル化・DXを進められます。 特に、最もコストや手間が発生するインフラ部分を社内で賄う必要がなく、一定程度のセキュリティ対策もサービス提供者側で行ってもらえる点はDXを進める上で非常に重要なポイントです。
また、感染症対策や働き方改革の一環としてテレワークを導入する上でも、クラウドサービスの利用は有効となるでしょう。

勤怠管理システムの導入

バックオフィス業務におけるクラウドサービス利用の例として、勤怠管理システムの導入が挙げられます。 まずは、勤怠管理システムの概要や導入のメリットや注意点をおさえましょう。

勤怠管理システムとは

勤怠管理システムとは、文字通り従業員の勤務状態を把握・管理するシステムのことで、これまでタイムカードや手書き・手入力で管理していた出退勤や休憩時間などをデジタル管理することができます。
勤怠管理システムは近年多くの企業で導入されていますが、その主な理由がいわゆる働き方改革関連法制定にあります。

働き方改革の一環で2019年に改正された労働安全衛生法により、従業員の勤怠管理には「客観的な方法による労働時間の把握」が義務となりました。 これによれば、手書きや手動の打刻機、エクセルなどへの手入力は客観的な方法とは認められません。
そこで、ICカードやスマートフォン、PCなどで出退勤や休憩時間を記録できる勤怠管理システムが広まりました。 勤怠管理システムを使えば、労働基準法に基づく時間外労働の上限規制や有給休暇の取得なども手軽に、かつリアルタイムに把握できるため、今後もますます導入が進むでしょう。

勤怠管理システムを導入するメリット

バックオフィス業務の効率化として勤怠管理システムを導入するメリットには、以下の3つが挙げられます。

打刻時間の不正防止

打刻時間の不正防止は、勤怠管理システムが広く導入され始めている最も大きな理由と言えます。 従業員の出退勤時間や休憩時間を正確かつ客観的に把握するためには、リアルタイムに打刻を反映できる勤怠管理システムが有効です。 スマホ画面やパソコン画面、ICカードなどを使えばワンタップ、ワンクリックでの操作も可能です。

また、手入力や手書きの場合、従業員による意図的な不正打刻などどうしても不正を防ぎきれないないことが問題でした。
例えば、タイムカード式の打刻の場合は、本人以外でも打刻できてしまうため、本人以外の代理打刻だったとしてもわかりません。
しかし、勤怠管理システムで個人のスマホや生体認証などを用いることで、誰が打刻したのかの特定が可能です。 スマホ端末のGPS機能と合わせて使えば、テレワークやリモートワークでも位置情報も把握した上での正確な打刻が期待できます。

法令遵守に基づく勤怠管理が可能

勤怠管理システムを導入することで、前述の労働基準法や労働安全衛生法に準拠した勤怠管理が簡単に行えるようになります。
例えば、残業時間や有給休暇の管理なども、勤怠管理システムによってはアラートなどで教えてくれるものがあり、過重労働の防止や適切な有給休暇取得につなげられるでしょう。

ヒューマンエラーの防止、リソース削減

勤務時間や残業時間の集計、代休や有給休暇の申請などは紙や手入力で作業しているとヒューマンエラーにつながりやすくなります。
さらに、エラー修正対応のためにリソースを消費してしまうと、バックオフィス業務担当者への業務負担が大きくなってしまいます。 こうした状況を改善するためにも、勤怠管理システムは役立ちます。

特に、勤怠管理システムを給与計算システムと連携したり、両方のシステムを備えたサービスを導入することで、勤務時間や残業時間の入出力や転記、計算作業の手間が効率化できます。
従業員一人ひとりの勤怠管理を手作業で行わなくてよいため、作業工数の削減に貢献できます。

勤怠管理システムを導入する場合の注意点

バックオフィス業務の効率化を目的に勤怠管理システムを導入する注意点には、以下の2つが挙げられます。

ランニングコストがかかる

勤怠管理システムの多くは月額で費用がかかるため、ランニングコストがかかるのは避けられません。 就業形態や雇用形態など就業規則が独特な場合はその分のカスタマイズ費用がかかることもあります。
また、アカウント数毎にコストが加算される場合もあるので、想定ユーザー数とコストのバランスを計算して、導入サービスを検討しましょう。

社内に浸透する手間や時間がかかる

勤怠管理システムは原則として全社で導入していく必要があるため、社内に浸透させる手間や時間がかかります。
特にITリテラシーが低く、デジタルツールに慣れていない従業員から問い合わせが頻発したり、打刻ミス・打刻忘れなどの対応が必要になることが予測されます。 導入にあたっては、マニュアルの作成やルールの制定、社内周知にも気を遣うことが重要です。

Akerun入退室管理システム×勤怠管理システムによる業務効率化の成功例

ここでは、Akerun入退室管理システムと勤怠管理システムの連携による、バックオフィス業務の効率化について、成功事例を2つご紹介します。

有機合成薬品工業株式会社

有機合成薬品工業株式会社では、これまでアナログな入退室管理を行っていましたが、Akerunと連携した勤怠管理システムの導入により、ICカードをかざすだけで入退室の記録が取れるようになりました。 他の導入効果として、セキュリティがより強固になったほか、労務管理の工数も削減できるようになり、利便性が向上したと、従業員にも好評です。

株式会社竹中工務店

株式会社竹中工務店では、働き方改革に伴うワークプレイスのリニューアルに際し、Akerun入退室管理システムと連携した勤怠管理システムを導入しました。 これにより、これまでバラバラだった鍵管理がクラウド管理で一元化され、認証情報の登録・削除も手間がかからなくなりました。
また、入退室管理を行っていなかった拠点のセキュリティが強化され、働く人の安心感につながっています。

まとめ

バックオフィス業務を効率化するためのDXとして、クラウドサービスの導入は手軽でコストを抑えやすい手法の一つです。 労務、経理、総務など各業務に対応したサービスの中から、より自社の業務にフィットするものを選定し業務のDXを成功させ、生産性の向上やより快適な業務環境の構築を実現しましょう。

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