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セキュリティ
【2024年診療報酬改定対応】感染対策向上加算を取得するための入退室管理整備ガイド:カルテ室・ICUエリアのゾーニング設計
2026年6月4日
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2024年度の診療報酬改定に伴い、「感染対策向上加算」の要件であるゾーニングや動線分離への対応が急務となっています。本記事では、有事の迅速な運用切り替えを可能にする「入退室管理システム」の活用メリットを解説しています。
「感染対策向上加算を算定したいが、施設基準のうち『汚染区域・清潔区域のゾーニング体制』をどう整備すればよいかわからない」——。
病院・クリニックの経営層や事務部門の責任者の方からこうした声を聞くことがあります。2024年度(令和6年度)の診療報酬改定で要件が見直された感染対策向上加算は、医療機関の経営に直結する重要な加算です。施設基準を満たすには、感染制御チーム(ICT)の設置や研修体制の整備に加え、「汚染区域・清潔区域のゾーニング体制」「動線分離の体制」といった物理的な感染対策の整備が求められています。
このゾーニング体制は、新興感染症発生時に「すぐに切り替えられる準備ができていること」が求められており、平時からの計画と、それを実行する仕組みの両方が必要です。本記事では、感染対策向上加算の算定要件を整理したうえで、ゾーニング体制を支える入退室管理の整備について、カルテ室・ICUエリア・発熱外来の動線設計の観点から具体的に解説します。
感染対策向上加算は、医療機関が組織的な感染防止対策に取り組むことを評価する診療報酬上の加算です。2022年度の診療報酬改定で従来の「感染防止対策加算」から名称変更され、2024年度の改定でさらに要件が見直されました。
加算区分
点数
算定タイミング
主な対象
感染対策向上加算1
710点
入院初日
感染制御の中核を担う医療機関(一般病床数の制限なし)
感染対策向上加算2
175点
一般病床数300床未満が標準
感染対策向上加算3
75点
入院初日+入院期間90日を超えるごとに1回
加算1または2と連携する医療機関
加算1・2を算定する医療機関には、感染症対策に関する一定の経験を持つ医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師から構成される感染制御チーム(ICT)の設置が求められます。加算3では「院内感染管理者」の配置が必要です。
加算1を算定する場合は「指導強化加算」(30点)、加算2・3を算定する場合は「連携強化加算」(30点)や「サーベイランス強化加算」(3点)も追加で算定できます。さらに、2024年度改定で新設された「抗菌薬適正使用体制加算」(5点)は、加算1〜3に共通して算定可能です。
2024年度改定での主な変更点は、以下の3点です。
第一種・第二種協定指定医療機関であることが要件に追加:感染症法上の協定指定医療機関であることが施設基準として明確化されました
介護保険施設等との連携が要件として明示:介護保険施設等から求めがあった場合に、現地に赴いて感染対策に関する助言を行うことや、研修を合同で実施することが望ましいとされました
新興感染症対応に向けたゾーニング体制の明示:感染症患者を受け入れることを念頭に、汚染区域や清潔区域のゾーニングを行うことができる体制を有することが、施設基準として明確に位置付けられました
感染対策向上加算を算定するためには、施設基準を満たしたうえで「基本診療料の施設基準等に係る届出書」と「感染対策向上加算に係る届出書添付書類」(様式35の2)を、医療機関の所在地を管轄する地方厚生(支)局事務所に提出する必要があります。
届出は郵送で行うのが一般的です。提出前には必ず写しを取り、提出後は到着確認のためにレターパックや簡易書留などの追跡可能な郵送方法を利用することが推奨されます。
施設基準の中で、特に物理的な対応が必要なのが「汚染区域・清潔区域のゾーニング体制」と「発熱患者等の動線分離体制」です。
施設基準では、新興感染症の発生時等に感染症患者または疑い患者を受け入れることを念頭に、汚染区域や清潔区域のゾーニングを行うことができる体制を有することが明示されています。あわせて、発熱患者等の診療を実施することを念頭に、発熱患者等の動線を分けることができる体制を有することも求められます。
ここで重要なのは、「平時からゾーニングが完成している必要はない」が、「有事に速やかに切り替えられる体制が整っている」ことが要件であるという点です。具体的には以下のような要素が求められます。
汚染区域・清潔区域として運用するエリアが平時から計画されている
ゾーニング切り替え時に、職員・患者・物品の動線を分けられる物理的な構造がある
ゾーンごとに入退室できる職員を制御できる体制がある
切り替え時の手順がマニュアル化されており、訓練が実施されている
これを実現するために有効なのが、入退室管理システムによるゾーン制御です。
入退室管理システムは、施設内の各エリアへのアクセスをICカードや暗証番号、スマートロックなどで制御する仕組みです。感染対策向上加算の文脈では、以下の3つの効果があります。
① エリアごとに入室できる職員を制限できる:たとえば「ICUは医師・看護師・指定された清掃スタッフのみ」「カルテ室は医療事務担当者のみ」といった制御が可能です。これにより、不要な人の動線が混入するリスクを下げられます。
② 平時の運用と有事の切り替えを同じ仕組みで実現できる:ゾーニング切り替えが必要になった場合、管理画面の権限設定変更だけで「このエリアは隔離区域、入室許可者は感染症対応スタッフのみ」という運用に切り替えられます。物理的な鍵を交換する必要がなく、迅速な対応ができます。
③ 入退室ログが感染対策の「実施記録」として残る:誰がいつどのゾーンに入ったかが客観的に記録されます。これは、院内感染が発生した場合の濃厚接触者の特定や、感染源の追跡(コンタクトトレーシング)にも活用できます。施設基準で求められる「巡回・実施状況の把握」を補完する記録としても機能します。
電子カルテシステムが普及した現在も、紙のカルテを保管しているカルテ室や、電子カルテのデータを管理するサーバー室は、医療機関の中でも特にアクセス制限が厳しく求められるエリアです。
カルテ室は、院内感染対策の観点だけでなく、個人情報保護の観点からも入退室管理が必須のエリアです。考慮すべき設計ポイントは以下です。
入室許可者の限定:医療事務担当者・診療情報管理士・許可された医師のみに権限を付与する
入退室ログの完全な記録:誰がいつ入室し、何分間滞在したかを記録する
時間帯による制御:深夜・休日の不正アクセスを防ぐため、時間帯ごとに入室を許可する範囲を変えられる仕組みを設計する
業者・委託清掃員の一時権限:定期清掃や書類搬送業者には、必要な時間帯のみ有効な一時権限を発行する
電子カルテ・医事会計システム・画像診断システムを管理するサーバー室は、感染対策よりもむしろ情報セキュリティの観点で厳格な管理が必要です。サーバー室では以下を考慮します。
2要素認証:ICカード単独ではなく、ICカード+暗証番号など複数の認証手段を組み合わせる
入退室ログの長期保存:診療録管理体制加算1で求められるサイバーセキュリティ対策の一環としても機能する
業者対応の記録:システムベンダーによる保守作業の入退室を記録し、作業内容と紐付けて管理する
サーバー室の入退室管理は、診療録管理体制加算1の施設基準にも関連するため、感染対策向上加算と合わせて検討する価値があります。
ICU(特定集中治療室管理料を算定するエリア)は、感染対策の観点から特に高度な管理が求められる区域です。重症患者が集中して入院しているため、院内感染が発生した場合の影響が大きく、職員・面会者・物品の動線分離が必須です。
ICUのゾーニング設計では、典型的に以下の3つの区域を意識します。
清潔区域(クリーンゾーン):医療スタッフの控室・物品庫・更衣室・休憩室など、感染源と接触する可能性が低いエリア
準清潔区域:ナースステーション・廊下など、医療行為前後の動線が交差するエリア
汚染区域(コンタミネーションゾーン):患者の病床周辺・処置エリアなど、感染源と接触する可能性があるエリア
ICUのゾーニングにおいて、入退室管理システムは以下の役割を果たします。
権限のあるスタッフのみがICU内に入れる:研修中のスタッフ・他病棟の応援者など、本来の権限を持たない人の入室を物理的に防げます
面会者の管理:面会時間外の入室を防ぎ、面会記録を客観的に残します。新興感染症発生時には面会制限への切り替えが管理画面から即座にできます
動線分離の補助:清潔区域への入口と汚染区域からの退出経路を、入退室ログとあわせて運用ルールで分けることができます
濃厚接触者の特定:万が一、患者に院内感染が発生した場合、過去の入退室ログから「いつ・誰がそのエリアにいたか」を特定でき、迅速な対応が可能です
外来部門での発熱患者対応も、施設基準として体制整備が求められる領域です。一般患者と発熱患者の動線が交差しないよう、入口・待機エリア・診察室・帰宅経路を物理的に分けることが理想です。
入退室管理システムは、発熱外来エリアのドアに設置することで、許可された患者のみが入室できる仕組みを構築できます。患者にQRコードを発行し、それで解錠する方式を採用すれば、職員の手を介さずに発熱患者を専用エリアに誘導することも可能です。
平時は通常の外来として使用しているスペースを、新興感染症発生時に発熱外来に転用する場合でも、入退室管理の権限設定を変更するだけで運用を切り替えられます。
感染対策向上加算と関連して算定できる加算には、以下のものがあります。これらも合わせて算定することで、医療機関全体の感染対策体制の評価につながります。
指導強化加算(30点):感染対策向上加算1を算定する医療機関が、加算2・3または外来感染対策向上加算を算定する医療機関に対して指導を行った場合に算定
連携強化加算(30点):感染対策向上加算2・3を算定する医療機関が、加算1の医療機関に対し感染症発生状況等を定期的に報告している場合に算定
サーベイランス強化加算(3点):JANIS(院内感染対策サーベイランス)やJ-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)に参加している場合に算定
抗菌薬適正使用体制加算(5点):直近6か月の入院外抗菌薬のうちAccess抗菌薬の使用比率が60%以上、またはサーベイランス参加医療機関の上位30%以内の場合に算定
感染対策向上加算の取得は、感染制御チームの設置・研修・カンファレンスへの参加といった「人とプロセス」の整備に加えて、ゾーニング体制と動線分離という「物理的な仕組み」の整備が不可欠です。
特に2024年度の改定で明確化された「汚染区域・清潔区域のゾーニング体制」と「発熱患者等の動線分離体制」は、平時の計画と有事の切り替えの両方が問われる要件です。これを支える基盤として、入退室管理システムは現実的な選択肢になります。
加算1(710点)の取得を目指す医療機関にとっては、入院初日に算定できるこの点数は経営上のインパクトも大きく、関連加算と合わせて整備することで、年間の収益改善にもつながります。
Akerunが提供する医療機関向け入退室管理
Akerunは、クラウド型のスマートロック・入退室管理システムです。後付け設置が可能なため、既存の病院・クリニックの建物に大規模な工事をすることなく導入でき、カルテ室・サーバー室・ICU・発熱外来など、エリアごとに異なる権限設定を細かく管理できます。
新興感染症発生時のゾーニング切り替えも、管理画面からの権限変更で迅速に対応可能です。入退室ログは長期保存され、感染対策実施記録・濃厚接触者特定・個人情報保護の観点いずれにも活用いただけます。
「感染対策向上加算の取得に向けて、入退室管理体制を整備したい」「ICUやカルテ室のゾーニング設計を見直したい」とお考えの病院・クリニックのご担当者様は、お気軽にご相談ください。
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