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レンタルヨガスタジオの「無人経営」稼働率・収益化の仕組みと事例3選
2026年6月15日
著者:
独立志向のヨガインストラクター急増を背景に注目を集める、スマートロック等を活用した「無人レンタルスタジオ」の収益化モデルを解説。稼働率の仕組みや国内の成功事例3選を交え、オーナーと利用者の双方が低リスクで事業を展開できる「場貸し」経営のノウハウを紹介します。
「所有している物件や使っていないスタジオを、ヨガインストラクターに『場貸し』して収益化したい」「自分の教室を持ちたいが、月20万円の家賃を払い続けるリスクは取りたくない」——。
近年、こうした相談を「場貸し型レンタルヨガスタジオ」の開業を検討している事業者の方や、独立を目指しているヨガ・ピラティスインストラクターの方からいただくことが増えています。
日本のヨガ・ピラティススタジオ市場は2025年実績の約1兆8,720億円から、2034年には約4兆320億円まで拡大する見込み(年平均成長率8.94%)とされており(出典:株式会社IMARC Group「日本ピラティス・ヨガスタジオ市場規模、シェア、成長分析 2026-2034」 https://www.atpress.ne.jp/news/1938409 )、フィットネス産業の中でも際立った成長性を示しています。
一方で、市場拡大の裏側で、インストラクター側の労働環境には構造的な摩擦が生じています。国家資格不要で参入障壁が低いため指導者の数が急増し、既存スタジオへの業務委託では収入が不安定化、複数スタジオの掛け持ちや喉・腰の酷使によるバーンアウトが常態化しています。
この状況を背景に、「自分のクラスを、自分の時間と価格で持ちたい」という独立志向のインストラクターと、彼らに対して『場』を貸し出すスペース運営者のマッチング市場が、いま急速に拡大しています。
本記事では、レンタルヨガスタジオ(場貸し型スタジオ)の開業を検討している事業者の方や、独立を目指すインストラクターの方に向けて、市場拡大の背景、稼働率・単価設計、複数インストラクターを抱えるための運営のしくみ、そして国内の代表的な事例を解説します。
日本のヨガ・ピラティススタジオ市場は、健康意識の高まりと女性層を中心とした利用増を背景に、年平均成長率8.94%という高い成長性を維持しています(出典:IMARC Group 同上)。
一方で、ヨガ・ピラティスのインストラクター職は国家資格を必要とせず、200時間のRYT200などの民間資格取得で開始できる参入障壁の低さから、指導者の数も急増しました。
この需給バランスの結果、現場のインストラクター側では以下のような構造的圧迫が生じています。
既存スタジオ主導の価格競争:レッスン料金の引き上げが難しく、業務委託インストラクターの給与水準は横ばいまたは減少傾向
収入の不安定性:レギュラークラスの獲得競争が激化し、急なクラス削減やキャンセルがそのまま死活問題に
掛け持ち労働の常態化:複数スタジオを移動する形での生計確保が一般化し、移動時間・身体負荷が増大
集客・ブランディングの高度化:差別化のないインストラクターは独力での集客が困難に
この圧迫から脱却するために、「業務委託モデル」から「自主開催・独立モデル」への移行を目指すインストラクターが急増しています。自分のクラスを主宰し、自分で集客し、自分の料金設定で運営したい——この独立志向こそが、レンタルヨガスタジオの巨大な潜在需要を生み出しています。
しかし、独立を志すインストラクターにとって最大の障壁が、物理的なスタジオを確保するための初期投資と毎月の固定費リスクです。マットヨガ主体のテナント開業でも初期投資150〜300万円・月間固定費約20〜23.5万円、マシンピラティス導入型では初期投資500〜2,000万円・月間固定費56〜90万円が必要とされます
(出典:noteクリエイター galaregi「ピラティススタジオ経営の完全ガイド|収益モデル・開業資金」 https://note.com/galaregi/n/ned3bdfece172 )。
毎週決まった生徒数を集める保証がない独立初期のインストラクターにとって、この固定費は致命的なリスクです。月15〜20万円の家賃を払い続けながら、集客が思うように進まない数ヶ月を耐え抜く資金力があるインストラクターは多くありません。
ここを橋渡しするのが、「場貸し型レンタルヨガスタジオ」です。インストラクターは時間単位・月額単位でスタジオを借り、固定費リスクを完全に変動費化できます。スペースオーナー側は、複数のインストラクターを稼働させることで時間貸しの空きを埋め、安定的なストック収益を得られます。「インストラクターも、スペースオーナーも、どちらも低リスクで自分の事業を持てる」モデルとして、いま全国で急速に広がっています。
レンタルヨガスタジオの時間貸し単価は、立地・規模・設備により幅がありますが、概ね以下のレンジに収まります。
東京都市部の標準的なマット型スタジオ:1時間 1,500〜2,500円
マシンピラティス対応スタジオ:1時間 3,000〜5,000円
プライベート利用前提のシェアサロン型:1時間 2,000〜3,500円
インストラクター側の収益モデルを「週5回クラス(月20回)×1回2時間利用」で試算すると、月間のスペース利用料は約8万円(4,000円×20回)となります。生徒1人あたりの単価を3,000円、平均参加者を6名とすると、月間売上36万円、スペース利用料を引いた粗利は28万円となります
(出典:noteクリエイター galaregi「ヨガスタジオ開業|開業資金の目安と費用を抑える5つの方法」 https://note.com/galaregi/n/n6e392feb60df )。テナント独立では到達まで7〜8ヶ月かかるレベルの粗利を、レンタルスタジオ利用なら開業初月から実現できる計算です。
スペースオーナー側から見ると、月額固定費17万円(家賃・水道光熱費・通信費・システム維持費の合計)の25㎡規模スタジオの場合、損益分岐稼働率は集客チャネルによって以下のように変動します。
自社予約比率
ポータル経由比率
損益分岐稼働率
1日あたり必要稼働時間
100%(すべて自社)
0%
10.7%
約2.6時間/日
70%
30%
12.0%
約2.9時間/日
50%
13.0%
約3.1時間/日
0%(すべてポータル経由)
100%
16.5%
約4.0時間/日
1日3時間程度の稼働で固定費を回収できる構造は、レンタルヨガスタジオ事業の参入難度を大きく下げています。重要なのは、開業初期はインスタベース・スペースマーケットなどのポータルで露出を確保し、リピーターを段階的に自社直接予約に誘導することです。
時間貸しのみの運営では稼働のボラティリティが大きいため、近年はインストラクター向けの月額会員制(サブスクリプション)プランを併設するモデルが主流化しています。代表的なプラン設計のパターンは以下です。
時間優遇型登録会員制:年会費12,000円程度+会員向け優遇料金(平日1,000〜1,500円/時、土日1,200〜1,800円/時)
時間制限付きサブスク(月22,000〜44,000円):プランごとに月15〜60時間の利用権を付与し、超過分は時間貸し
完全無制限定額(月33,000〜44,000円):時間制限なしで予約・利用可能
常設店舗化型シェアサロン(月42,000円〜):リネン・Wi-Fi・光熱費・清掃を全て込みにし、住所利用権付き
特に「常設店舗化型」は、インストラクターにとっては実質的な「自分の店舗を月4.2万円で持てる」価値提案となり、解約率を大きく下げる効果があります。スペースオーナー側にとっても、稼働を予測しやすい安定的なストック収益基盤になります。
場貸し型スタジオの最大の運営課題は、「複数のインストラクター・複数の会員プランを、混乱なく1つのスタジオで回す」ことです。スタッフを常駐させればこれを人力で管理できますが、人件費が固定費を圧迫します。スマートロックと予約・会員管理システムを連携させることで、これを完全に自動化できます。
スマートロックは「誰が・いつ・どのドアを開けられるか」を細かく制御できます。場貸しスタジオでの典型的な権限設計は以下です。
時間貸し予約者:予約時間帯のみ有効な一時鍵を自動発行(予約開始10分前から利用後10分まで有効)
月額契約インストラクターA:平日19〜22時の枠を専有、毎週決まった時間に解錠可能
月額契約インストラクターB:土日午前枠を専有、その時間のみ解錠可能
無制限プラン契約者:契約期間中は予約システム上で空いている枠を自由に押さえて解錠可能
清掃・メンテナンス業者:曜日と時間帯を限定した別権限
これらをすべてクラウド管理画面で設定でき、ドアの物理的な仕様変更や鍵の受け渡しは一切不要です。
月額契約者の支払いが滞った場合の対応も、自動化できます。会員管理システム側で月会費の引き落としが失敗した時点で、スマートロック側の解錠権限を自動的に削除(入室ブロック)する設定にしておけば、無人運営で最も懸念される「滞納会員のフリーライド」を人手を介さずに完全防止できます。
誰がいつ入退室したかがクラウド上にリアルタイムで記録されるため、スペースオーナーは現地に立ち会わなくても全インストラクターの稼働状況を遠隔で把握できます。特定インストラクターの集客が伸びているか、特定時間帯の稼働が空いているか、清掃業者がきちんと来訪しているかを、すべてログから確認可能です。
時間貸し・月額会員制のいずれにおいても、無人運営の基本フローは以下のように構築できます。
利用者(インストラクターまたは生徒)は24時間Web予約サイトから希望時間枠を指定して予約を確定します。クレジットカード決済が同時に完了し、当日の現金授受は不要です。月額会員の場合は事前登録カードから自動引落しされます。
予約確定と同時に、システムが予約時間帯のみ有効な解錠URLを自動配信します。月額会員はスマートフォンアプリや交通系ICカードを鍵として登録できるため、毎回の権限発行も不要です。
利用者がドアを解錠した瞬間に「来店処理(チェックイン)」が予約システム側で自動実行されます。
利用中の「時間延長」も、スマホからの操作で追加課金と解錠有効期間の更新が自動で連動します。インストラクターのレッスンが盛り上がって延長したい場合も、その場で完結します。
予約終了時刻に達すると解錠権限が自動失効し、一度退出すると再入室は不可能になります。スタジオ内のIoT家電(エアコン・照明)を連動させれば、最終退出と同時に電源を自動オフにする省エネ運用も実現できます。
レンタルジム・レンタルスタジオのプラットフォーム「FitSpace」は、2024年8月の正式リリースから約半年で全国250以上の施設が登録、月間予約数1,000件を突破し、業界の急成長を象徴する存在となっています。
「ジムやスタジオを手軽にレンタルできることで、多くのトレーナーやインストラクターにとって、より柔軟な働き方を可能にする」というコンセプトのもと、施設オーナー側にも空き時間の有効活用による経営効率化と収益向上を提供しています。スペースオーナーとインストラクターのマッチング市場が、いま全国規模で確立しつつあることを示す代表事例です。
▶ 出典:株式会社FitSpace プレスリリース(PR TIMES、2025年2月)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000155793.html
「自分の常設店舗を、月額42,000円で持てる」という価値提案で展開しているのが、シェアサロンNESTです。月額固定料金にスタジオスペースの利用権、リネン(タオル類)、Wi-Fi、光熱費、共用スペース、清掃サービスがすべて内包されており、最低契約期間3ヶ月から利用可能です。
インストラクター・セラピストにとっては、独立開業時の100〜300万円規模の初期投資リスクを完全に排除しながら、「自分の店舗を持っている」というブランディング上のメリットを獲得できます。インストラクター向け月額契約モデルの先進事例として位置付けられます。
▶ 出典:シェアサロン NEST 公式サイト「ご利用料金とシステム」
https://sharesalon-nest.com/nestsystem/
東京の麻布十番・恵比寿・表参道・自由が丘で展開する「aMieu」は、女性専用のプライベートレンタルサロンです。入会金・年会費・月額基本料をすべて無料とし、利用料金のみを1時間900〜2,200円の時間帯別スライド制とするフリーエントリーモデルを採用しています。
一方で、事前審査として現地での「オリエンテーション(面談・見学、利用規約・マナー確認、解錠アプリの設定確認)」を義務付け、マナーの良い継続利用希望者のみに解錠アカウントを付与する仕組みを敷くことで、無人運営に伴うトラブルを未然防止しています。「面談制」と「無人運営」を両立させる運営設計の好例です。
▶ 出典:会員制レンタルサロン aMieu 公式サイト
https://amieu.co/
「予約時間が終わったのに退出しない」「次のインストラクターと鉢合わせする」といったトラブルは、スマートロックの「予約時間連動の自動権限失効」と、予約システム側の「予約間バッファ時間(15〜30分)」の設計で物理的に解消できます。退出時の清掃・原状復帰時間も、このバッファ内に組み込むのが基本です。
ヨガ・ピラティススタジオは、利用者が動きやすい服装で着替えを行うことが多い空間です。監視カメラは必ず入口・共用エリア・廊下のみに設置し、レッスンエリアや更衣室・トイレを画角に入れないことを明確にしてください。
利用規約で「カメラの設置目的は防犯と入退室管理のみ」「映像データは30日で自動削除」と明示し、事前同意を必須化することで、利用者の心理的安全性を確保できます。
複数インストラクターが共用するスタジオでは、「備品の使い方」「マットやプロップの片付け」「ドアの施錠確認」など、暗黙の了解では運用できないルールが多く発生します。利用規約で具体的に明文化し、違反時のペナルティ(次回予約ブロック・違約金請求・契約解除)も明示しておくことで、トラブルが発生しても客観的な対応が可能になります。
ヨガ・ピラティス市場の拡大とインストラクター供給過多という構造の中で、「業務委託」でも「独立テナント」でもない第三の道として、レンタルヨガスタジオの場貸し市場が全国で急増しています。
スペースオーナーにとっては、複数のインストラクターを月額契約と時間貸しの組み合わせで稼働させることで、1日3時間程度の稼働でも固定費を回収できる事業性を実現できます。
インストラクターにとっては、初期投資数百万円のリスクを取らずに、自分のクラス・自分の価格・自分のブランドで運営できる場所を月数万円のコストで持てます。両者にとって「低コストで自分の事業を持てる」現実的な選択肢として、このモデルは今後さらに広がっていくと考えられます。
無人運営の鍵となるのが、スマートロックと予約・会員管理システムの連携による「時間帯別・会員ごとの権限管理」「未払い時の自動権限失効」「入退室ログの遠隔把握」です。これらを揃えれば、スペースオーナーが現地に張り付かなくても、複数インストラクターを抱えた本格的なシェアスタジオ経営が成立します。
Akerun/Migakunのご紹介
Akerun は、業界最大級のAPI連携実績を持つクラウド型スマートロック・入退室管理システムです。
RESERVA、hacomono、STORES 予約、インスタベース、fixUなどの主要な予約・会員管理プラットフォームと連携することで、本記事で解説した「時間貸し」「月額会員制」「複数インストラクターの時間帯別権限管理」「未払い時の自動権限失効」をワンストップで実現できます。既存ドアに後付け設置でき、賃貸物件でも原状回復不要で導入できるため、初期投資を抑えてスモールスタートを切れます。
また、Akerunのグループ会社が運営する Migakun では、レンタルヨガスタジオの清掃・備品補充・現場巡回などのフィジカル面のオペレーションをBPaaSとして代行するサービスを提供しています。Akerunで入退室・予約・決済を自動化し、Migakunで清掃・現場対応を任せれば、スペースオーナーは集客・コンセプト設計・インストラクターとの関係構築に集中できます。
▶ お問い合わせ・資料請求:https://akerun.com/inquiry_top
▶ Akerun 連携サービス一覧:https://akerun.com/entry_and_exit/alignment
※追記
提供元である株式会社フォトシンスでは、スマートロック「Akerun」をはじめ、現場オペレーションを担う「Migakun」、店舗の無人化・省人化を支える基幹システム「fixU」を扱っており、「商用施設の無人化をトータルソリューションする」サービスを展開しています。さらに、フォトシンスの強力なパートナーシップを活用することで、システムや運営面だけでなく、無人スタジオの開業に不可欠な「不動産物件」「内装」「業務用機器・什器」を扱う企業のご紹介まで包括的にサポートが可能です。
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