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働き方改革
時間外労働と残業の決定的な違いは?人事労務が押さえる割増賃金ルール
2022年07月01日
更新日:
2026年7月27日
著者:
「時間外労働」と「残業」──日常業務ではほぼ同義で使われがちなこの2つの言葉ですが、労働基準法上の定義や割増賃金(25%アップなど)の発生条件は明確に異なります。
この違いを正確に理解していないと、未払い残業代の発生や36協定違反といった、企業にとって重大な労務リスクにつながりかねません。
本記事では、人事労務担当者が押さえておくべき「時間外労働」と「残業」の法的な違い、割増賃金の計算ルール、そして実務における注意点を分かりやすく解説します。
一般的に「残業」と呼ばれるものには、実は法律上まったく異なる2種類が存在します。まずはこの区別を正確に押さえることが、正しい労務管理の第一歩です。
区分
定義
割増賃金の法的支払義務
法定時間外労働
労働基準法で定める1日8時間・週40時間を超える労働
あり(25%以上)
所定時間外労働
会社所定の就業時間は超えるが、法定労働時間の枠内に収まる労働
なし(就業規則の定めに従う)
法定時間外労働とは、労働基準法第32条で定められた「法定労働時間」(原則として1日8時間、週40時間)を超える労働のことを指します。
この法定労働時間を超えて労働させる場合、企業は以下の義務を負います。
労使間で36協定(サブロク協定)を締結し、労働基準監督署に届け出ること
法定の割増賃金(通常賃金の25%以上)を支払うこと
つまり、法的に厳しく規制された「本来の意味での残業」がこの法定時間外労働にあたります。
世間一般で「残業代がつく」と言われるのも、原則としてこの法定時間外労働のことです。
一方、所定時間外労働とは、会社が就業規則で定めた「所定労働時間」を超えるものの、法定労働時間の枠内に収まっている労働を指します。
たとえば、所定労働時間が「1日7時間」の会社で、従業員が8時間働いた場合。
この超過1時間分は「所定時間外労働」にはあたりますが、法定労働時間(1日8時間)を超えていないため「法定時間外労働」ではありません。
ポイント:所定時間外労働については、労働基準法上の割増賃金支払義務は発生しません。
通常賃金(時給分)の支払いで足ります(ただし就業規則や労働契約で割増を定めている場合はそれに従います)。
現場では「所定時間外=残業だから25%割増が必要」と誤解しているケースも見られますが、これは法的には正確ではありません。
逆に、法定時間外に達しているのに割増賃金が正しく支払われていないケースは、未払い残業代のリスク要因となります。
割増賃金の支払い義務は、あくまで「法定時間外労働」に対して発生します。主な割増率は以下の通りです。
労働の種類
割増率
法定時間外労働(月60時間以内)
25%以上
法定時間外労働(月60時間超の部分)
50%以上(2023年4月から中小企業にも適用)
深夜労働(22時〜翌5時)
法定休日労働
35%以上
これらは重複して適用されます。たとえば「深夜の法定時間外労働」であれば、25%+25%=50%以上の割増となります。
中小企業においても2023年4月から月60時間超の50%割増が適用されているため、対応漏れがないか改めて確認が必要です。
36協定を締結していれば時間外労働を無制限に命じられるわけではありません。
原則として月45時間・年360時間が上限であり、特別条項を締結した場合でも以下の枠を超えることはできません。
年720時間以内
単月100時間未満(休日労働を含む)
複数月(2〜6ヶ月)平均80時間以内(休日労働を含む)
月45時間を超えられるのは年6回まで
これらの上限を超えると労働基準法違反となり、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。
単なる金銭リスクにとどまらず、企業ブランドや採用にも影響する重大な問題です。
労務相談で頻繁に寄せられる質問のひとつが、「タイムカードの打刻時間と、実際の労働時間にズレがある場合、どちらを基準に給与計算すべきか」というものです。
結論から言えば、原則として「客観的な実労働時間」をベースに計算すべきです。
2019年施行の労働安全衛生法改正により、企業には「客観的な方法による労働時間の把握義務」が課されています。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも、以下の方法が推奨されています。
タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間等の客観的な記録による把握
使用者による現認
自己申告制を採用する場合は、実態調査と補正を実施すること
打刻時間と実労働時間に乖離がある場合、企業側にはその乖離が生じた理由を客観的に説明する義務が生じます。
たとえば「業務終了後にタイムカードを打刻した後も、実際にはPCで作業を続けていた」といった状況が労働基準監督署の調査で判明した場合、その分の未払い残業代を遡って支払うことになるリスクが顕在化します。
さらに、未払い賃金の消滅時効は2020年4月から段階的に延長され、現行法では3年(将来的には5年)となっています。
つまり、乖離を放置していると、過去3年分の未払い残業代を一括で請求される可能性があるということです。
したがって、「打刻時間さえ管理していれば良い」わけではなく、打刻データと実労働の乖離を検知・是正できる仕組みが不可欠なのです。
複雑化する時間外労働の管理において、実務上のボトルネックとなっているのが「客観的な労働時間の把握」です。
当社(株式会社Photosynth)がAkerun導入を検討する企業と行っている商談データからは、以下のような課題が浮かび上がっています。
商談データの総論として、中堅・中小企業の人事担当者からは
「固定残業代(みなし残業)を採用しているものの、実際の従業員の時間外労働時間がそれを超過していないかを客観的に証明できず、未払い残業代リスクを抱えている」
というご相談が一定数寄せられています。
固定残業代制度は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う仕組みです。
しかし、この制度を採用していても、みなし時間を超える労働が発生した場合には超過分の残業代を別途支払う義務があります。
この超過分を客観的に把握・証明できない状態が続けば、後日「未払い残業代」を請求されるリスクを長期にわたって抱えることになります。
一方、Akerunを導入して入退室ログをクラウド上で常時モニタリングしている企業では、法定時間外労働に達しそうな従業員を自動でアラート検知しています。
36協定違反を未然に防ぐコンプライアンス運用が高確率で定着しているというファクトが、当社の運用データから得られています。
(※上記のアラートはAkerun単体の機能ではなく、外部の勤怠管理システムとの連携で実現します。入退室ログと勤怠打刻を照合することで、時間外労働の超過などを自動検知できます。)
具体的には、以下のような運用が可能になります。
入退室データをもとにした「客観的な在社時間」の自動記録
勤怠管理システムとの連携による、打刻データと実労働時間の乖離の可視化
月間の時間外労働が上限に近づいた従業員への自動アラート通知
36協定の特別条項(月45時間超が年6回まで、単月100時間未満など)の運用状況をリアルタイムで管理
労働時間管理を「従業員の自己申告」に依存している状態から、「入退室ログという客観的データ」を軸にした管理へシフトすることで、労務コンプライアンスと業務効率化の両立が実現できます。
また、Akerunはクラウド型サービスのため、複数拠点や在宅勤務併用の企業でも一元的な労働時間モニタリングが可能です。
人事担当者は場所を問わず、Web管理ツール「Akerun Connect」から全従業員の入退室状況を確認できます。
「時間外労働」と「残業」の違いを正しく理解し、法定時間外労働に対して適切に割増賃金を支払うことは、企業として当然果たすべき義務です。
しかし、そのためには前提として、客観的で正確な労働時間データが不可欠です。
労働時間管理をめぐる訴訟や労働基準監督署の調査で問われるのは、「実際に何時から何時まで働いていたか」という客観的な事実です。
この事実を証明できるかどうかが、企業の労務リスクを大きく左右します。
本記事の重要ポイントを改めて整理します。
「時間外労働」と「残業」は同義ではなく、法定時間外労働と所定時間外労働を明確に区別する必要がある
割増賃金の法的支払義務は法定時間外労働に対して発生し、月60時間超は50%割増(中小企業も適用)
36協定の上限規制(月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間等)を超えると罰則対象
給与計算は客観的な実労働時間をベースにすべきで、打刻データとの乖離があれば説明義務が生じる
Akerunの入退室管理システムを活用すれば、日々の入退室データがクラウド上に自動的に記録され、勤怠システムと連携することで時間外労働の集計・上限超過アラート・36協定運用までを自動化できます。複雑化する労務コンプライアンス対応や、固定残業代の運用リスクにお悩みの人事労務ご担当者様は、ぜひ資料ダウンロードや導入事例をご確認ください。
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