


豊岡市では「デジタル社会を前提とした市役所の実現」という方針を掲げています。これは、デジタルの力でできるだけ業務を効率化して、職員の負担を減らしていこうという方針です。業務の効率化によって、残業時間を減らし、働きやすい職場にしていきたいという思いもあります。
もともと、市の公共施設の予約や鍵管理は、そのすべてをアナログで運用していました。予約は基本的に紙の書類で受け付けて、鍵は物理で利用者に受け渡すという形式です。デジタル化を進めるにあたっていろいろ調べていく中で、クラウドベースの公共施設予約管理システム「Spacepad」を見つけて、デモをお願いしたり、操作方法を教えていただいたりしました。
競合サービスもかなり調べて、一時期は両手で数えられるくらいのサービスが候補にありましたが、「電子錠と連携できるサービス」となると一気に選択肢は絞られてきます。今回の前提として、「予約だけでなく、電子錠と連携できること」は非常に重要でした。当初は「予約と電子錠の連携」が目的でしたが、検討を進める中で、施設利用に関わる一連の業務をまとめて最適化できるのではないかと考えるようになりました。そうした中で、最終的に選ばれたのが、SpacepadとAkerunを組み合わせた導入です。
実際の選定にあたっては、プロポーザル形式で広く公募して、その中で総合的に評価して選びました。単なる予約システムではなく、“予約から鍵の開閉まで一体で管理できる”という点は、導入前の大きなポイントでしたね。

市の体育施設やコミュニティセンター、小中学校、指定管理施設など、市が所有している施設全般に導入しています。合計92の公共施設をSpacepadで予約から決済まで運用しており、そのうち60施設では、Akerunと連携して、入退室管理までを一元化しています*。
* 2025年12月時点
契約は2024年の7月で、2025年の2月から運用を開始しています。導入までかなりスピード感を持って進めていただきました。Akerunについては設置も含めてお願いしているので、市の職員が対応する場面は多くなく、スムーズに導入できたと思います。
また、Akerun で遠隔で解錠・施錠ができるので、実際に年に一度の災害訓練もAkerun を組み込んだ内容で実施しています。

不安として一番大きかったのは、“どれくらいの方がオンライン予約を使ってくれるのか”という点ですね。
利用者の中心は高齢の方なので、いきなりデジタル化しても使ってもらえるのかという不安はありました。現在も紙での申請は残していて、オンラインと併用できるようにしていますが、どのくらい移行が進むかは正直読めませんでした。
それと、利用者だけでなく管理者側も高齢者が多いので、予約の管理が適切にできるのか、予約や電子錠の操作でトラブルが起きないか、といった不安もありましたね。

まず、書面での申請が減ったことで、窓口対応はかなり減りました。
Spacepadでオンライン決済ができるようになり、窓口での現金のやり取りも減りましたし、書面でやっていた業務が電子化されたことで、管理者の負担は確実に軽くなっていると思います。
利用者としても、Spacepad上の施設予約画面からオンラインで空き状況を確認して、そのまま予約できるようになったので、時間に縛られない手続きができるようになりました。特に大きいのは、利用予定の施設に何度も行かなくてよくなったことですね。以前は予約して、鍵を借りに行って、使い終わったら返しに行くという流れだったので、それがなくなったのは大きいと思います。正確なデータは取っていないものの、利用時の手間は半分以下になっていると思います。

以前は利用者に物理的な鍵を渡していたので、どう使われるか分からないという不安が常にありました。予約していない時間に鍵を開けてしまったり、忘れ物を取りに勝手に入ってしまったりといったケースも想定され、“物理的な鍵の受け渡しはやめたい”という声は、以前から市役所の中でも上がっていました。
Akerun を導入してからは、そうした心理的な負担はかなり減りましたし、鍵の管理そのものが不要になったのは大きいです。管理者からも、「鍵の受け渡しが楽になった」「予約管理が楽になった」という声が上がっています。

例えば野球場のような施設では、グラウンドだけでなく控室や放送室も使うので、どういう予約の流れにすると利用者が迷わないか、かなり考えました。“どうすればスムーズに予約できるか”という視点で、予約時の手順の最適化を図っています。
解錠方法については、カード・アプリ・URLなど複数用意していて、利用者や管理者が使いやすい方法を選べるようにしています。
そして、SpacepadとAkerunというクラウド型システムの一番のメリットは、やはりトラブル対応の面ですね。例えば、カードの読み取りでエラーが出た場合でも、Akerunを使っていれば、職員が遠隔から解錠でき、現地に行く必要がありません。物理鍵のときは、何かあれば管理者が現場に行くしかなく、利用者も待つしかなかったので、それがなくなったのは大きいです。

オンライン予約・決済の利用率については、利用開始時に2024年度末で20%、2025年度末で50%、2026年度末で70%という目標を立てています。実際に、この目標は想定よりも早く進んでいて、すでに2025年度までの目標は達成しています。市の管理者側からも「できるだけオンラインで対応してほしい」というアナウンスをしているので、今後もさらに広がっていくと思います。
Akerun については、導入可能な施設にはすでに展開しています。一方でSpacepadは、今後さらに活用の幅を広げていきたいと考えています。例えばの案ですが、母子健康手帳の交付やマイナンバーカードの受け取りといった窓口業務にもSpacepadを展開し、公共施設にとどまらない、市民サービス全体の利便性向上につなげていきたいですね。

兵庫県豊岡市
豊岡市は、2005年4月1日に兵庫県の北東部に位置する1市5町が合併してできた市で、多彩な四季が織りなす自然環境や、城崎温泉、出石城下町などの全国的にも有名な観光資源を有する。また、国の特別天然記念物で一度は絶滅したコウノトリを2005年から放鳥し、生息地の保全も含めた人里での野生復帰が進められ、今では国内羽数が700羽以上まで回復したという世界的にも例がない壮大な取組みを進めてきた。さらに現在、第5次豊岡市行財政改革大綱の柱の一つである「デジタル社会を前提とした市役所の実現」を目指し、様々なテクノロジーの活用を通じた行政サービスの高度化や住民ニーズへの対応、また将来にわたる持続可能な自治体の構築に取り組む。
(写真は「豊岡稽古堂」(旧豊岡市役所庁舎))
兵庫県豊岡市
兵庫県豊岡市役所 市長公室 DX・行財政改革推進課
出水 翔太 さま
目的/効果
01.
[Akerun]
鍵の受け渡し業務負担を軽減し、セキュリティリスクも低減
[Spacepad]
窓口業務や紙申請にまつわるタスクの大幅な削減
02.
[Akerun]
遠隔操作によるトラブル時対応の迅速化
[Spacepad]
オンラインで完結する予約〜決済によって利用者の手続き負担を軽減
03.
[Akerun]
災害時など非常時の即時対応体制の構築
[Spacepad]
予約業務の可視化・効率化
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