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はじめに
厚生労働省の働き方改革の推進により、多くの企業が業務の見直しや改革に取り組むなか、従来の業務の手間や時間を削減できるバックオフィス業務のDX(Digital
Transformation、デジタル技術による事業変革)にも注目が集まっています。
特にフレックスタイム制や時短勤務、リモートワーク(テレワーク)、ハイブリッドワーク(※1)など多様な働き方に対応するためのバックオフィス業務の自動化やデジタル化、さらに国税庁などが推進する年末調整や確定申告のデジタル化(※2)なども見据えたバックオフィスのDXは、企業の課題にもなっています。
そこで今回は「バックオフィスをDXする」とはどういう意味なのか、バックオフィスをDXするためのポイントやバックオフィスをDXできるおすすめのシステムなどを紹介します。この記事を参考に、ぜひ企業の成長を加速させるバックオフィスのDXを成功させてください。
※1 ハイブリッドワークとは、1週間のうち出社する日とリモートで勤務する日が混在している働き方こと
※2 出典:国税庁「デジタル化の取組」
バックオフィスのDXとは?
バックオフィスのDXとは、IoTやクラウドシステムなどテクノロジーを活用して、バックオフィス業務を効率化し、コスト削減や労務担当者の負担を軽減する仕組み作りのことをいいます。 バックオフィスの具体的な業務は、以下のような内容になります。
経理/財務 | 企業の収支管理や記録、融資、株式発行など |
人事/労務 | 従業員の採用や退職手続き、従業員の教育、従業員の勤怠管理など |
総務 | 企業の情報セキュリティやITシステムの管理、社内の設備・備品管理、株主総会運営など |
法務 | 社内規定整備、契約書の作成・確認、コンプライアンス対応など |
一般事務 | 来客対応や電話対応、各部署への事務支援など |
これらバックオフィスのDXにより業務における効率性や生産性の向上に加えて削減できたリソースやコストなどを活用して、さらなる企業の発展や収益の増加を目指すことを目的としています。
バックオフィスのDXで期待できるメリット
バックオフィスをDXすると、主に以下のようなメリットが期待できます。
- 労働生産性の向上
- ヒューマンエラーの防止
- コスト・工数の削減
- 業務の属人化の防止
- 変化する労働環境への柔軟な対応
それぞれについて見ていきましょう。
労働生産性の向上
バックオフィスをDXすれば、従来、労務担当者などが手間や時間をかけていた業務の一部を自動化して空いた時間を他の作業にあてられるため、労働生産性を上げることができます。これにより、従来よりも効率的に業務を進めることができ、その分の空いた時間をより戦略的な業務に振り分けたり、その他の重要な業務に注力できます。
ヒューマンエラーの防止
バックオフィスをDXすることで、ヒューマンエラーの防止につながります。これまで作業する人のスキルに依存していた業務精度の課題も、データ入力や集計などを自動化し、精度を高めることで解決できます。また、ヒューマンエラーによるデータの入力間違いや入力漏れなどが発生した場合に原因を追求し、データを修正・再入力する時間や手間、いわゆる手戻りも削減できるでしょう。
コスト・工数の削減
デジタル化により業務の精度向上や効率化が進み、これまで外注先などにかけていた費用や時間、工数を削減できます。今後、少子高齢化による労働人口の減少の問題(※)を見据えて、バックオフィスのDXは、人手不足などの問題を抱えることなく、安定した企業運営に大きく貢献することが期待できます。また、データや資料などのデジタル化により紙・インク・印刷代などの固定費や消耗品費の削減にもつながるでしょう。
※出典:みずほ総合研究所「みずほインサイト対策」(2017年5月31日)
業務の属人化の防止
バックオフィス業務をDXすれば、業務の属人化を防止し、自社独自のノウハウや管理情報などの共有がしやすくなります。これまでバックオフィスの業務は、人が入れ替わるたびに引き継ぎが必要であったり、個人スキルによって作業時間や効率に差がありましたが、DXのために導入したシステムやツールによって人や業務内容を問わず効率よく作業できる環境が整います。ただし、導入するシステムやツールの使いやすさによっては、操作がわかりづらかったり、逆に無駄な作業が発生する場合もあるため、導入するシステムの見極めは大切です。
変化する労働環境への柔軟な対応
バックオフィスをDXすると、多様な働き方や変化する社会情勢や労働環境に対応しやすくなります。例えば、フレックスタイム制など従業員ごとに不規則な出退勤時間がある場合や日によって出社する拠点が異なる従業員がいても、クラウド上で出退勤できるシステムを活用すれば、勤怠管理の一元化が可能になります。さらに、クラウド上に出退勤のデータが保管されているため、万が一オフィスが災害などに遭った場合でも、紙ベースの書類のように紛失・逸失するリスクがなく、またオフィスに出社しなくても引き続きスムーズに管理できます。
バックオフィスのDXを進める際に抑えておきたいポイント
様々なメリットがあるバックオフィスのDXですが、自社で取り入れるためには、どのようなことを行えばよいのでしょうか。ここではスムーズかつ効果的にバックオフィスのDXを進める際のポイントをお伝えします。
現状の把握と整理
バックオフィスのDXを進めるにあたり、財務状況から既存の業務オペレーションまで業務の現状や全体像を把握し、整理する必要があります。現状の把握は、現場の担当者にヒアリングを行い、現状の業務にどのような課題や問題があるか整理して明確化することが重要です。戦略的にバックオフィスのDXを成功させるためにも、現状把握と整理はしっかり行いましょう。
バックオフィスのDXを行う業務の洗い出しと優先順位づけ
現状の課題や問題などの把握と整理ができたら「どの業務をDXできるか」「どの業務をDXすることで効果を上げられるか」の検討・判断を行います。理想はDXできる全ての業務をDXすることですが、予算との兼ね合いや事業の安定性を保ちながら進めるためにも、優先順位を付け、段階的に導入していくことがおすすめです。
こうしたバックオフィスのDXへの取り組みは、業務のリスト化(棚卸し)、業務の問題点や課題の洗い出し、改善可能な業務の整理など、企業の根本的な経営改善にもつながり、その点からも大きなメリットとなるでしょう。
バックオフィスをDXするためのツール・システム選定
DXするバックオフィスの業務の選定が完了したら、DXに用いるシステムやツールを選定します。バックオフィスをDXできるシステムやツールは、自社開発することもできます。また、既に実績があるクラウドやオンプレミスのサービスを導入して利用することも可能です。
業務の効率化やコスト削減ということを重視するのであれば、自社開発したシステムを使用するより、多くの利用実績や導入実績のあるクラウドサービスなどを利用するのがおすすめです。バックオフィス業務を支援するクラウドサービスの場合、搭載している機能は類似していることも多いため、難しいカスタマイズを必要としないクラウドサービスを導入することが、最も効率的かつコストを抑えながらDXを実現できるでしょう。
バックオフィスのDXで多く導入されているサービスには、以下のようなものがあります。
- 社内向けチャットボット
- RPA(ロボティックプロセスオートメーション)
- AI(人工知能)を活用したシステム
- コミュニケーションツール(ビデオ会議システムや社内チャットシステムなど)
- 電子契約システム
- 電子帳簿システム
- 勤怠管理システム
- 人事評価システム
- 給与計算システム など
これらのサービスは自社や他社のシステム/サービスと連携できるものもあるので、上手に選んで活用することで、バックオフィスの業務を効果的かつ横断的に簡略化・自動化できます。特にクラウド型のサービスは自社でサーバーを用意する必要がないため、導入が簡単です。また、システムのバージョンアップや更新も自動で実施されるものもあるため、コストを抑えながら最新の状態を維持することもできます。
効果検証を行う
バックオフィスをDXしたら終わりではありません。DX後の検証を定期的に行う必要があります。効果検証では、主に以下の事項に着目しましょう。
- 導入後、期待した効果が出ているか
- 新たな課題が生まれていないか
導入後、期待した効果が出ていない場合は、担当者がツールやシステムを適切に活用できていない、ツールやシステムが自社の事業環境に合っていない、従業員にツールやシステムの使用方法が浸透していないなどの可能性があります。ツールやシステムの運営会社により良い活用方法を相談したり、従業員へ勉強会を開くなど改善を図りましょう。新たな課題が出てきた場合も、ツールやシステムの運用方法次第で改善できる場合もあります。
期待した効果が出ていない要因としてもう一つ考えられるのは、導入したシステムの利用方法に問題がある場合です。例えば、本来は不要な手順がボトルネックとなり導入前より管理しづらくなっているなど、問題の原因を追求することで、より効率的なオペレーションに改善していく機会となるでしょう。
おすすめのバックオフィスをDXするシステムを紹介
バックオフィスのDXを成功させたいなら、導入費用と管理コストを抑えつつも、システムを常に最新のバージョンにアップデートできるクラウドシステムを導入するのがおすすめです。
クラウドシステムを利用するメリットには以下のようなものがあります。
- 自社サーバーを用意する必要がないため、導入コストが抑えられる
- 簡単にアップデートできるため、最新のバージョンを維持できる
- クラウド上に情報が蓄積・管理されるため、場所や人、状況を選ばすに利用できる
- 複数の支店や部門などの情報もクラウド上に一括で管理できるため、利便性が高まる
- 支店や部門、労働者が増えても柔軟に対応できる
- クラウドにより情報共有がリアルタイムでできるため、業務の効率化が図れる
では、クラウドシステムにはどのような種類があるのでしょうか。ここでは、バックオフィスで活用できる主なクラウドシステムを紹介していきます。
受付システム
オフィスの受付や内線電話での対応業務を代行するクラウドシステムは、オフィスに受付専任/兼任の従業員を配置する必要がなくなったり、従業員が内線電話で業務を中断されるる必要がなくなったりなどのメリットがあります。例えば、来客があった際に来客通知が担当者に直接送られるため、受付対応をスムーズに行うことができます。また、外線電話の1次対応を代行するシステムと併せて利用すれば、不必要な営業電話の対応などで業務時間を浪費することがなくなるでしょう。
人事労務システム
従業員の入退社の手続きや年末調整などの人事労務業務では、従業員ごとの書類の処理・管理が必要になりますが、クラウドシステムを利用すると労務関連の書類作成や人事労務管理の業務負担が大きく軽減できます。例えば、従業員が自分で直接システムを使って変更情報を入力することで入力間違えを防ぎ、フローの無駄を省いて、書類管理の負担だけでなく業務工数も削減もできます。
勤怠管理システム
従業員の出勤と退勤の打刻や休暇の申請といった勤怠情報をクラウドシステムを使って管理すれば、勤怠管理業務の負担が大きく軽減できます。例えば、従業員は出勤時と退勤時に自分のパソコンやスマホなどから打刻するだけで、情報がリアルタイムにシステムに反映されるため、効率的に管理できます。また、休暇の申請や打刻の修正などもクラウド上でできたり、上長の承認などもクラウド上で行えたりなど、各種作業が簡易化されて、申請や承認のフローがスムーズになります。
さらに、入退室管理システムと連携させれば、入退室履歴を勤怠打刻に活用できるため、より正確な出退勤情報で勤怠管理ができるようになり、サービス残業や労務管理の課題の発見・解決にも役立つでしょう。
入退室管理システム
入退室管理システムは、オフィスや施設への入退室履歴/ログをクラウド上に記録して管理できるシステムです。解錠権限を与えた人のみが入退室できたり、「誰が」「いつ」「どこで」入退室したかを把握・管理できたりなど、オフィスや店舗/施設のセキュリティが高まるという大きなメリットもあります。
入退室管理システムは、勤怠管理システムと連携できるものや、店舗や施設の会員システムや予約システム、決済システムなどと連携させて、より利便性や安全性を高めることもできます。
バックオフィスのDXには様々な外部システムと連携できるAkerun入退室管理システムがおすすめ!
入退室管理システムでおすすめなのが、勤怠管理システムなど様々な外部システムと連携できるAkerun入退室管理システム(以下、Akerun)です。
Akerunは累計7,000社を超える企業が導入している入退室管理システムです。AkerunならAPIを使用して、他社の勤怠管理システムと連携が可能です。Akerunが搭載している「タイムカード機能」を使って勤怠管理の業務効率化に役立てることもできます。
また、利用者は入退室の際に、スマホやICカードなどでスムーズに解錠ができ、オートロック機能による施錠で鍵の閉め忘れを防ぐこともできます。物理的な金属の鍵の管理が必要なくなり、セキュリティ強化とクラウドによる解錠権限や入退室情報の管理を一元化できるため、オフィスや店舗/施設などの安全性が高まり、企業の信頼にもつながります。
導入事例から見るAkerunのメリット
Akerunを実際に導入した企業の声は、バックオフィスのDXの参考にもなりますので、ぜひご覧ください。
API連携で勤怠管理をDXして、従業員のワークライフバランスの見直しにつながった事例
この導入企業では、従来は物理的な金属の鍵で施錠・解錠を行っていましたが、鍵の紛失事故が発生し、セキュリティ強化と鍵管理の手間などを考えて、スマートロックの導入を検討した中で、Akerunを導入しています。
この企業では、Akerunと既に導入していた勤怠管理システムを連携しました。Akerunの導入で、オフィスへの出入りに物理的な金属の鍵の代わりに通勤に使用する交通系ICカードやそのほかのICカードで施錠・解錠できるようになりました。これにより物理的な金属の鍵の紛失・複製・盗難などがなくなったり、移動手段で利用しているICカードを利用することで鍵を自宅に忘れるリスクを低減でき、勤怠打刻も正確に行われるようになりました。
また厳格な勤怠管理により夜間残業を減らすなどの施策も実施して、従業員のワークライフバランスも改善しています。正確な勤怠情報により、出退勤管理だけでなく、給与計算などの経理業務も負担が低減し、ほかの業務に労働時間を当てることもできています。
この事例の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
既存のセキュリティカードで入退室管理と勤怠管理を一元化して、労務管理が効率化した事例
この導入企業では、拠点立ち上げに伴い、初期費用を抑えながらセキュリティを強化する目的でAkerunを導入しました。
既に導入していた勤怠管理システムとAkerunを連携させることで、入退室と同時に勤怠打刻ができることから従業員による打刻漏れが低減できました。また、従業員の勤怠状況をリアルタイムに把握・確認できるため、利便性が高まっていると言えます。さらに、既存のビルのセキュリティカードをオフィスの入退室管理にも活用できたことで、労務管理が効率化できました。
この事例の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
まとめ
バックオフィスをDXすると、これまで見えてこなかった社内全体の業務フローや作業の課題や問題が明確化されます。これに適したクラウドシステムを導入することで、生産性だけでなく経営スピードも上がり、正確かつ効率的なバックオフィスの運営ができるようになります。
クラウドシステムを導入する際は、導入の優先順位を考え、自社に合った最適なクラウドシステムを選択することが重要です。さらに導入後には定期的に業務改善が行われているかなど検証を行い、必要があれば運用方法を改善していくことで、バックオフィス業務の効率性や正確性がさらに向上することでしょう。
バックオフィスのDXで最も重要なことは、DXによって生まれた時間やリソースを他の業務にあててさらに生産性を向上したり、より戦略的な業務に注力できることです。この記事を参考に、ぜひバックオフィスのDXを成功させてください。