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働き方改革
勤務間インターバル制度と健康経営:入退室ログで「退勤から翌出勤まで11時間未満」の違反をリアルタイムで検知する方法
2026年6月4日
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勤務間インターバル制度の義務化や、健康経営への関心が高まる昨今。「客観的な勤務時間をどう把握するか」にお悩みの労務担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、自己申告に頼らずに正確なデータを取得できる「入退室ログ」を活用した労務管理手法を解説します。
「勤務間インターバル制度の義務化に向けて準備を始めたいが、何をどこから整備すれば良いかわからない」——。
人事部門・管理部門の責任者の方からそうした声を聞くことが増えてきました。終業から翌日の始業までの間に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」は、現在は努力義務ですが、義務化に向けた議論が本格化しています。法案の国会提出は2025年12月時点で見送られましたが、政府は2028年までに30人以上企業の導入率15%以上という数値目標を掲げており、「いつ義務化されるか」ではなく「義務化される前提で運用を整えるか」というフェーズに入っています。
加えて、「健康経営優良法人認定」の評価項目にも勤務間インターバル制度が含まれており、人材獲得・企業ブランディングの観点からも対応の重要性は増しています。
本記事では、まず勤務間インターバル制度の基本と最新動向を整理し、そのうえで入退室ログを活用してインターバル違反をリアルタイム検知する具体的な運用方法を解説します。一般的な制度解説で終わらせず、実務で運用するための具体的な情報をお届けします。
勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する制度です。例えば11時間のインターバルが設定されている場合、22時に退勤した従業員の翌日の始業時刻は9時以降にする必要があります。
2019年4月に施行された改正労働時間等設定改善法により、すべての企業に対して努力義務として導入が求められています。EU諸国では1993年から「24時間につき最低連続11時間の休息」が義務化されており、日本もこの国際標準に近づこうとしています。
厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が2025年1月に公表した報告書では、11時間の勤務間インターバル制度の義務化が提言されました。これは現行の努力義務から大幅な格上げを意味します。
しかし、2025年12月に労働基準法改正法案の通常国会提出は見送られ、施行時期は不透明な状況です。政権交代に伴う労働時間規制の方向性の再調整が背景にあると報じられています。それでも、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2024年8月策定)で2028年までに30人以上企業の導入率15%以上という数値目標が明示されており、義務化の方向性自体は変わっていません。
経営層・人事部門としては、施行時期を待つのではなく、先行して制度を整備することで、義務化対応のリスクと健康経営の評価向上を同時に実現する戦略が求められます。
現時点で勤務間インターバル制度の違反に直接の罰則はありませんが、安全配慮義務違反による民事責任や、行政指導の対象となる可能性があります。義務化後は労働基準法違反として扱われる方向で議論されており、その場合は労働基準法第119条に基づく6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用される見込みです。
オフィスワーク中心の一般企業ではまだ努力義務ですが、トラックドライバー・バス運転手・タクシー運転手・医師については、すでに改善基準告示や働き方改革関連法によって具体的なインターバル時間が義務付けられています。
例えばトラックドライバーの場合、2024年4月から「1日の休息時間は継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」と規定されています。違反した場合は車両使用停止などの行政処分対象です。
勤務間インターバル制度への取り組みは、健康経営優良法人認定制度の評価項目とも密接に関連しています。
健康経営優良法人認定制度は、経済産業省と日本健康会議が共同で運営する認定制度です。「大規模法人部門(ホワイト500)」と「中小規模法人部門(ブライト500)」があり、毎年発表されます。従業員の健康管理を経営的視点で考え戦略的に実践している企業として認定されることで、求職者・取引先・金融機関・株主への信頼性向上につながります。
健康経営優良法人認定の評価項目には、長時間労働者への対応や働き方改革に向けた取り組みなどが含まれています。勤務間インターバル制度の導入は、これらの評価項目を満たす具体的な施策のひとつとして位置づけられます。
特に「ホワイト500」の認定を目指す大企業や、「ブライト500」を目指す中小企業にとって、勤務間インターバル制度の導入と運用実績の提示は、認定取得の確度を高める要素となります。
健康経営優良法人の認定は、近年の求職者にとって企業選択の重要な基準となっています。特に20〜30代の若手人材は、長時間労働を避ける傾向が強まっており、「休息時間が確保される企業文化」をアピールできるかどうかは、採用競争力に直結します。
人事部門・経営層として、勤務間インターバル制度の導入は単なる法令対応ではなく、人材獲得戦略・企業ブランディング戦略の一環として捉えることが重要です。
ここからが本記事の核心です。勤務間インターバル制度を運用する上で最大の課題は、「実際にインターバルが確保されたかどうかを、客観的にどう把握するか」です。
自己申告のみに頼る運用では、申告漏れや過少申告が発生し、義務化後の監査・行政指導において客観的な記録として認められない可能性があります。PCログのみに頼る運用も、PCを使わない職種や、PC利用と実際の在社時間にズレがある場合に正確性を欠きます。
そこで有効になるのが、入退室ログ(スマートロックや入退室管理システムが記録した退室時刻・出社時刻)の活用です。入退室ログは以下の特性を持っています。
本人が意識せず記録される客観的データ:打刻忘れや過少申告が起きない
退室時刻と翌日の入室時刻が同一システムで取得できる:インターバル時間の計算が容易
PCを使わない職種にも適用可能:オフィス勤務であれば全従業員が対象
クラウド型システムなら勤怠管理システムとAPI連携が可能:自動アラート・自動集計が実現できる
ここからは、Akerunなどのクラウド型入退室管理システムを使って、勤務間インターバル違反をどう検知するかの具体的な運用方法を3つのレベル別に解説します。
最も基本的な運用です。前日の退室時刻と当日の入室時刻の差分を計算し、設定したインターバル時間(例:11時間)を下回った従業員を毎朝リストアップします。
運用フロー
入退室管理システムから前日の退室ログ・当日の入室ログをCSVで出力する(または勤怠管理システムへAPI連携で自動取込)
各従業員ごとに「退室時刻」と「翌日の入室時刻」の差分を計算する
インターバル時間を下回る従業員をリストアップする
該当者の上司・人事部門にレポートを送信する
この運用のポイント
毎朝のレポートを見て翌日以降の対応を促すという「事後対応」型の運用です。義務化対応の最低限のラインとして、まずこの運用から始めることが現実的です。Excelやスプレッドシートで集計する場合でも、API連携で自動化する場合でも、運用ルールとしてはこの基本形を整備します。
レベル1の事後対応に加え、「退室から〇時間後の出社」がインターバル違反になりそうな段階で、当日朝の出社時にリアルタイムでアラートを発する運用です。
各従業員の前日退室時刻を入退室管理システムが記録
翌日の出社時、入室と同時にシステムが「退室時刻+設定インターバル時間」と現在時刻を比較
インターバル違反が確定した時点で、本人・上司・人事担当に即時通知(メール・Slack・Teams等)
通知を受けた上司は当該従業員の業務調整・始業繰り下げを判断
この運用のメリット
「気づいたときには違反していた」状態を防ぎ、現場で即時に判断・対応できる体制が作れます。インターバル時間を確保するため、上司が「今日は10時から始業に変更」「午後から出社」といった指示をその場で出せます。義務化後の運用としては、このレベルが事実上の標準になると考えられます。
最も高度な運用です。入退室ログ・勤怠予定・シフト情報を統合し、「このまま深夜まで残業すると、翌日のシフトとの間でインターバル違反が発生する」という予測アラートを発する仕組みです。
入退室管理システムから現在の在室状況をリアルタイムに取得
勤怠管理システム・シフト管理システムと連携し、翌日の出社予定時刻を取得
「現在時刻+業務終了予定」から逆算し、インターバル違反になる時刻を計算
違反予測時刻が近づいたら、本人・上司に「あと○時間で違反確定」のアラートを発信
業務終了の判断・残業承認の取り消し・翌日の始業時刻変更などをその場で実行
違反が発生する前に止められる予防型の運用です。経営層への報告では「違反件数」よりも「違反になる前に止めた件数」が成果指標になり、健康経営の取り組みとしてより前向きに評価されます。
このレベルの運用には、入退室管理システムと勤怠管理システムのリアルタイム連携が必要です。AkerunのようなクラウドAPI型のスマートロックであれば、こうした連携が実現可能です。
入退室ログでインターバル違反を検知する運用を設計するにあたり、人事部門が押さえておきたい実務論点が4つあります。
入退室ログはオフィスへの出社が前提です。テレワーク日や直行直帰日は、入退室ログでは取得できません。これらの日のインターバル管理は、PC打刻や勤怠システムの自己申告と組み合わせる運用設計が必要です。
具体的には、「出社日は入退室ログ、テレワーク日はPC打刻、外勤日は自己申告」という3層構造で運用し、それぞれを勤怠管理システムに集約してインターバル時間を計算する方法が現実的です。
夜勤明けに翌日の早番が入る場合、インターバル時間は深夜帯をまたぐため計算が複雑になります。シフト管理システムと入退室管理システムの両方からデータを取り込み、シフト切り替えを認識した上で計算する必要があります。
夜勤・シフト制の運用がある企業は、勤怠管理システムやシフト管理システムが入退室ログと連携可能であるかを事前に確認し、連携可能な構成を整えておくことが重要です。
突発的なシステム障害対応、災害発生時の緊急対応、海外との時差を伴う会議などで、どうしてもインターバルが確保できない場合があります。義務化後の制度設計でも、業種・職種による例外や代替措置が検討されています。
人事部門としては、「例外発生時の事後報告ルール」「代替休息日の設定」「上長承認の記録」などを就業規則・社内規定に盛り込んでおくことが、後々の監査対応・労務トラブル対応の観点で重要です。
労働基準法第41条第2号に該当する管理監督者は、勤務間インターバル制度の適用除外となる方向で議論されています。ただし、「名ばかり管理職」の問題があるため、形式的に管理職にしてインターバル管理から外すことは、実態として認められない可能性があります。
入退室ログによる客観記録は、管理監督者の労働実態を把握する上でも重要です。健康確保措置の観点から、管理監督者についても入退室ログでインターバル時間を計測しておくことが望ましいといえます。
勤務間インターバル制度の義務化時期は流動的ですが、人事部門・管理部門が準備を始めるべきタイミングは今です。理由は3つあります。
第一に、就業規則の改定・労使協定の整備・勤怠管理システムの改修・人員体制の見直しなどに、最低でも1年以上の準備期間が必要です。義務化が決まってから動き始めると間に合いません。
第二に、入退室ログを活用したインターバル管理は、すでに整備しているシステムの運用改善で実現可能です。新規システムの大規模導入を待つ必要がなく、設定変更とAPI連携で段階的に運用を高度化できます。
第三に、健康経営優良法人認定の評価サイクル(年次)に合わせた取り組みを行うことで、認定取得という具体的な成果につなげられる点があります。義務化対応と健康経営の取り組みを同時に進めることで、企業価値向上・採用競争力強化を同時に実現できます。
勤務間インターバル制度は、単なる労務管理の話ではなく、健康経営・人材獲得・企業ブランディング・法令対応を統合する経営テーマです。義務化が確定する前に運用を整備しておくことで、義務化対応と健康経営優良法人認定の取得を同時に実現できます。
その鍵となるのが、「客観的な入退室記録に基づくインターバル時間の把握とリアルタイム違反検知の仕組み」です。自己申告のみに頼らず、入退室ログを活用することで、運用の精度と監査対応力が大きく変わります。
人事部門・管理部門の責任者が今からできることは、自社の勤務実態を入退室ログから把握し、現状のインターバル充足率を可視化することです。可視化することで、義務化に向けた具体的な改善ポイントが見えてきます。
Akerunが提供する勤務間インターバル管理:業界最大級のAPI連携で多様な勤怠管理システムにつながる
Akerunは、業界最大級のAPI連携実績を持つスマートロック・入退室管理システムです。退室時刻と翌日の入室時刻を客観的に記録し、API連携を通じて勤怠管理システム・人事労務システムへリアルタイムにデータを連携できます。
主要な勤怠管理サービス・人事労務システム・ID管理ツールなど、多数のバックオフィスSaaSプロダクトとの連携実績があり、自社で利用中の勤怠管理システムをそのまま活かしながら、入退室ログを活用したインターバル管理を実現できます。連携可能なサービスの一覧は、下記のページからご確認いただけます。
▶ Akerun 連携サービス一覧:https://akerun.com/entry_and_exit/alignment
本記事で解説した「日次集計」「リアルタイムアラート」「予測型アラート」の3レベルの運用は、これらの連携を組み合わせることで段階的に実装可能です。
「勤務間インターバル制度の義務化に向けて準備を始めたい」「健康経営優良法人認定の取得を目指したい」「客観的な労働時間記録の体制を整えたい」とお考えの人事部門・管理部門のご担当者様は、お気軽にご相談ください。
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