セキュリティ

物理的セキュリティ対策とは?入退室管理を中心とした進め方を解説

著者:

衛藤海

公開日:

2026年10月27日

更新日:

情報を守る対策というと、ウイルス対策や不正アクセス防止といったサイバー面が注目されがちです。しかし、部外者や内部の人間が、情報資産のある場所に物理的に近づけてしまえば、対策は成り立ちません。人・物・場所を物理的な手段で守る「物理セキュリティ対策」は、セキュリティの土台です。

本記事では、物理的セキュリティ対策とは何かを、重要性が増している最新の背景とともに整理し、入退室管理・施錠管理を中心とした具体的な手法と、専門知識がなくても始められる進め方を解説します。

この記事で分かること:

・物理セキュリティ対策とは何か(重要性が増している背景)

・具体的な対策手法(入退室管理・施錠管理を中心に)

・専門知識がなくても始められる対策の考え方


※本記事では、法人向けの一例として「Akerun入退室管理システム」の公開仕様に触れます。機能や対応範囲は製品によって異なります。情報セキュリティ全般(サイバー面)は別記事で解説します。

1. 物理セキュリティ対策とは(重要性が増している背景)

物理セキュリティ対策とは、情報資産や人、設備を、物理的な手段によって守る取り組みのことです。具体的には、入退室管理、ドアや区画の施錠、監視カメラ、重要度に応じた区画分け(ゾーニング)、書類や機器の管理などが含まれます。

ウイルス対策やアクセス権管理といったサイバー(論理)面の対策と対をなす、セキュリティのもう一方の柱です。近年、この物理面の重要性が改めて高まっています。その背景を、最新の動向とともに見ていきます。

内部不正による情報持ち出しが増えている

外部からの攻撃だけでなく、従業員や退職者といった「内部関係者」による情報の持ち出しが、深刻な脅威になっています。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026(組織編)」では、「内部不正による情報漏えい等」が第7位に入り、11年連続で選出され続けています。

さらに、警察庁が2026年3月に公表した統計によると、2025年の営業秘密侵害事犯の検挙件数は38件で、前年比72.7%増と、公表されている過去10年で最多となりました。実際に2026年に入ってからも、退職者による個人情報の持ち出しを公表する企業の事案が起きています。注意したいのは、その手口です。各種の調査や検挙事例では、営業秘密の漏洩ルートとして最も多いのが中途退職者によるもので、転職先へ顧客情報などを持ち出す「手土産転職」も指摘されています。

しかも、実際に使われた経路は、特殊なものばかりではありません。自分宛にメールを送る、複合機で書類を印刷して持ち出す、携帯電話に情報を打ち込む——といった、どの会社にもある経路が使われていました。廃棄予定のパソコンや複合機、紙の書類からの漏洩も見過ごせません。これらは、システム面の対策だけでは防ぎきれず、「誰が・どこに入れるか」「重要な情報や機器のある場所をどう管理するか」という物理面の対策が効く領域です。

働き方の変化と、コンプライアンス要求の高まり

ハイブリッドワークの広がりで、人の出入りは以前より流動的になり、来訪者や委託先など外部の人がオフィスに関わる機会も増えました。「誰が施設内にいるのか」を把握しにくくなっているのです。加えて、個人情報保護法のガイドラインでは、安全管理措置の一つとして入退室管理や機器・書類の盗難防止といった「物理的安全管理措置」が求められています。ISMS(ISO27001)やPマーク、さらにサプライチェーンのセキュリティ評価でも、情報資産への物理的なアクセス管理は評価の対象になります。物理セキュリティは、防犯だけでなく、法令・認証・取引先対応の観点からも避けて通れなくなっています。

なお、ウイルス対策やアクセス権管理といった情報セキュリティ全般(サイバー面)の対策は[企業に必要なセキュリティ対策とは →   https://akerun.com/knowledge/20220702]で解説しています。本記事は物理面に絞って掘り下げます。

2. 物理セキュリティの具体的な対策手法

物理セキュリティ対策は、複数の手法を組み合わせて多層的に行うのが基本です。中心となる入退室管理・施錠管理を軸に、主な手法を整理します。

入退室管理:誰がどの区画に入れるかを制御し、「誰が・いつ・どこに」出入りしたかを記録します。物理セキュリティの中核であり、部外者の侵入抑止、内部不正の抑止、そして万一のときの追跡に効きます。

施錠管理・ゾーニング:サーバールームや書庫、個人情報を扱う区画など、重要度の高いエリアを区分し(ゾーニング)、施錠を徹底します。重要な場所ほど、入れる人を絞り込みます。

監視カメラ:出入口や重要区画にカメラを設置することは、不正行為の抑止と、発生時の記録・確認に役立ちます。

書類・機器・記録媒体の管理:離席時に書類を放置しない「クリアデスク」、USBメモリなど記録媒体の管理、複合機の使用管理、そして廃棄するパソコン・書類の適切な処理まで含めて、情報が物理的に持ち出されない仕組みを整えます。

来訪者・委託先の管理:来訪者に入館証を発行し、記録を残し、必要に応じて社員が付き添う(エスコート)といった運用で、外部の人の出入りを管理します。

退職者・異動時の権限失効:退職・異動が生じた際に、鍵やカードの解錠権限を確実に、できれば即時に無効化します。前述の内部不正対策として、ここが特に重要です。

3. 専門知識がなくても始められる対策の考え方

物理セキュリティ対策は、専門部署や専門知識がなくても、費用を抑えて着手できます。大切なのは、完璧を目指すことより、効果の高いところから確実に始めることです。

まずは「棚卸し」と「退職日当日の失効」から:お金をかけずにできる第一歩は、誰がどの区画・どの鍵にアクセスできるかを棚卸しし、不要な権限を整理することです。

そして、退職日当日に権限を失効させる手順を決めておくだけでも、内部不正のリスクは大きく下がります。

記録(ログ)を残すことを重視する:入退室のログは、「抑止・検知・立証」の3つに同時に効きます。

記録があること自体が不正の抑止になり、異常があれば検知でき、万一のときには証拠になります。

ログは、あとからさかのぼって取得することはできないため、早めに残し始めることが肝心です。

重要区画から、工事不要の仕組みで小さく始める:すべてのドアを一度に対応する必要はありません。

まずはサーバールームや重要書類のある区画など、リスクの高い場所から着手します。

既存のドアに工事不要で後付けできるクラウド型の入退室管理システムなら、専門部署がなくても、短期間・低コストで導入できます。

たとえば「Akerun入退室管理システム」は、ICカードやスマホでの解錠、区画ごとの権限管理、入退室ログの記録を一つの仕組みで実現でき、専門知識がなくても物理セキュリティの土台を整えられます。

商談記録を見ても、セキュリティの専門部署を持たない企業が、まず工事不要の入退室管理から物理セキュリティ対策に着手し、そこから施錠管理や来訪者管理へと広げていくケースが多い傾向があります。


ほかの企業が物理セキュリティ強化のためにどう取り組んだかは、目的別の導入事例(導入事例 物理セキュリティ強化  → https://akerun.com/casestudy?feK_Sczj=0P35edua#kadai)でも確認できます。

入退室管理システムの資料ダウンロード → https://akerun.com/download

4. 今後求められる対策の方向性

脅威や技術は変化しますが、物理セキュリティの土台となる考え方は変わりません。今後を見据えて、次の方向性を意識しておくとよいでしょう。

多層防御と最小権限:入退室管理・施錠・監視・書類管理といった手法を重ね、一点突破を許さない多層防御が基本です。

そのうえで、「必要な人に、必要な区画だけ」という最小権限を徹底することが、被害の影響を小さくします。これは今後も変わらない原則です。

サイバーとフィジカルの融合:物理と論理のセキュリティは、次第に一体化しつつあります。

入退室の権限とシステムのアクセス権を連動させたり、顔認証などの生体認証を組み合わせたり、AIカメラで共連れ(一人の解錠で複数人が入る)を検知したりといった取り組みが広がっています。

なお、こうした顔認証や共連れ検知は、入退室管理システム単体の機能ではなく、外部の顔認証サービスやAIカメラとの連携によって実現するものです。

自社の入退室管理と、どこまで連携させたいかを見据えておくとよいでしょう。

コンプライアンス対応としての位置づけ:個人情報保護法の物理的安全管理措置や、各種認証、取引先からのセキュリティ要請など、物理セキュリティを「求められる対策」として整える必要性は、今後さらに高まると考えられます。

5. まとめ

物理セキュリティ対策は、情報資産や人、設備を物理的に守る、セキュリティの土台です。

内部不正による情報持ち出しの増加や、働き方の変化、コンプライアンス要求の高まりを背景に、その重要性は増しています。

対策は、入退室管理・施錠管理を中心に多層的に行い、「必要な人に、必要な区画だけ」を徹底することが基本です。

専門知識や専門部署がなくても、権限の棚卸しや退職時の失効、工事不要の入退室管理から、費用を抑えて着手できます。まずはリスクの高い区画から、できることを始めてみましょう。

入退室管理システムの資料ダウンロード → https://akerun.com/download
物理セキュリティ対策としての入退室管理を相談したい方はこちら → https://akerun.com/inquiry

6. よくある質問

Q. 物理セキュリティ対策は、何から始めるとよいですか?

A. お金のかからない「アクセス権限の棚卸し」と「退職日当日の権限失効の手順化」から始めるのがおすすめです。

そのうえで、リスクの高い区画(サーバールームや重要書類のある場所)に、工事不要で後付けできる入退室管理を導入すると、記録を残しながら着実に守れます。

詳しくは[Akerun入退室管理システム → https://akerun.com/ ]もあわせてご覧ください。

Q. 専門部署がなくても物理セキュリティ対策はできますか?

A. できます。物理セキュリティ対策は、専門知識がなくても着手できる取り組みが多くあります。

特に、工事不要のクラウド型入退室管理は、設定や運用がシンプルで、専門部署を持たない企業でも導入・運用しやすいのが特長です。まずは重要な区画から小さく始め、段階的に広げるとよいでしょう。

関連記事はこちら

この記事を書いた人

衛藤海

株式会社Photosynth マーケティング部 

スマートロック・入退室管理システムの導入支援を中心に、法人向けセキュリティソリューションの情報発信を担当。オフィスやフィットネスジム、シェアオフィスなど多様な業種への導入経験をもとに、実務に役立つ記事を執筆しています。

まずはお気軽にご相談ください

Akerunの導入についてのご相談・お見積もり、製品カタログのダウンロードはこちらから。

お問い合わせ・導入相談

導入検討のご相談からお見積もりまで対応します。

導入検討のご相談からお見積もりまで
対応します。

お問い合わせをする

資料ダウンロード

製品カタログ・導入事例集を無料でお届けします。

製品カタログ・導入事例集を
無料でお届けします。

資料をダウンロードする